世界の人体解剖図集
美しく不可思議な人体解剖学の芸術
不穏で、目が離せなくて、ぞっとする人体解剖図の世界
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1章__全身(エコルシェ、筋肉、骨格、系)
2章__内部を覗く:解剖体(脳、消化器官、心臓、肺、解剖の過程)
3章__生殖(生殖器官、妊婦、懐胎、出産、胎児)
4章__上半身(頭蓋、頭部と頸部、耳、眼、舌、体幹、腕、手)
5章__下半身(脚、足)
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■日本語版監修者あとがきより
解剖学という学問は、ヨーロッパではルネサンス時代の頃から本格的に始まり、近代において最も盛んになった。
人体を研究する基礎医学には、体の「はたらき」を扱う生理学と、体の「形や構造」を扱う解剖学がある。
人体の(内部まで含めた)地図を作るのが解剖学であるが、そんな形や構造を扱うという視覚的な方法による性質上、
解剖学の本には必ず、言葉による解説に加え解剖図が付いている。見て説明する学問なのだ。
本書は、そんな古い解剖学の本に収められた解剖図を選び出し、体系化して編集したものである。
ヨーロッパのルネサンス時代から近代までのものが中心だが、20世紀のノーベル生理学・医学賞の研究で使われた現代の図も載っている。
さらには西洋の解剖図だけでなく、日本の江戸時代のものから中国のものまで、幅広く集めた充実した内容の本となっている。
美しい図も多く、美術の画集を眺めるように楽しむのも、一つの読み方であろう。
これらの解剖図は、解剖学の本に載っているものであるから、医学史・科学史の対象となるものであるが、
上記のような理由から美術に興味のある人にとっても、たいへんに役に立つ本となっている。
人体は、美術の歴史において、いつも最も中心的なモチーフであった。古代ギリシアから近・現代まで、
そしてマンガやアニメやCGまで、人体が描かれない時代もメディアもなかったほどである。
そういう、美術の制作のために解剖学を学ぶ分野に「美術解剖学」という科目がある。
今でも、美大では美術解剖学の授業があり、美術やデザイン、マンガやアニメの仕事を目指す若者たちの多くが美術解剖学を学んでいる。
人体を描くためには、人物デッサンのトレーニングなども必要であるが、さらには人体内部の解剖学を学ぶことも大切なのだ。
この本は、そのような「人体を上手く描きたい人」にとって、格好の教科書ともなるであろう。
- Format:A4判変型
- Size:263×204mm
- Pages:272Pages(Full Color)
- Binding:ハードカバー
- 発行元 :PIE International
- ISBN:978-4-7562-5338-5 C0071
- 著者:ジョアンナ・エーベンステイン
日本語版監修:布施英利 翻訳:植村亜美
ジョアンナ・エーベンステイン:美術解剖学の研究者・キューレーター・写真家。ブルックリンを拠点に活動。著書多数。
布施英利:解剖学者・美術批評家。1960年生まれ。東京藝術大学美術学部芸術学科卒業、同大学院美術研究科博士課程修了(美術解剖学専攻)、東京大学医学部助手(解剖学)等を経て現在に至る。科学と芸術が交差する美の理論を探究し、これまで、美術と解剖学に関する50冊ほどの著作がある。主な著書に『脳の中の美術館』(筑摩書房)、『構図がわかれば絵画がわかる』(光文社)、『人体5億年の記憶』(海鳴社)、『ヌードがわかれば美術がわかる』(集英社)など。また『モルフォ 人体デッサン』『骨から描く』『アナトミカル・ヴィーナス 解剖学の美しき人体模型』(以上、グラフィック社)など監修書も多く、さらに共著には養老孟司との『解剖の時間』(哲学書房)がある。
植村亜美:博士(学術)。東京藝術大学美術学部芸術学科を卒業後、同大学院博士後期課程を修了。東京藝術大学(美術解剖学研究室)非常勤講師を経て、現在はフリーランスで美術解剖学関連の書籍の翻訳などを手掛けている。訳書に『目で覚える美術解剖学』『定本 基本の人体デッサン』(ともにパイ インターナショナル)。