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広告コピーの中には、ストーリー性が強く、
詩や短編小説のような世界観で綴られたものがあります。

コピーライターは、その物語をどうやって書いたのか。
ふだん何を考え、何を思っているのか。
その「舞台裏」をご紹介します。

もしかすると、小説よりおもしろいと思える広告コピーが
この中で見つかるかもしれません。

第三回の物語



まさに、
サプライズだった。



うれしくない方の。


それでも、
前を向く。

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誤解を恐れずに
言った。



誤解しか
されなかった。


それでも、
前を向く。

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告白された。



過去形で。


それでも、
前を向く。

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【JT「Roots」のポスター】
コピーライター:岩田純平
クリエイティブ・ディレクター:中澤真純
アート・ディレクター:工藤章子
デザイナー:佐藤聡宏 
フォトグラファー:須藤秀之

第三回の舞台裏


キーワードは「2.5枚目な男」

華やかな香りと味わい深さから30〜40代の男性を中心に幅広い支持を受けるJTの缶コーヒー、Roots。その広告コピーを担当しているのが、コピーライターの岩田純平さんだ。

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Rootsのコピーを担当した岩田純平さん


いいことだと思いきや…一転してトホホなことに。そんな共感を呼ぶポスターが、今年の4月から全国の電車内広告で展開された。「クライアントのJTさんから「かっこいいけどチャーミングなキャラクターとしてRootsを描きたい。そのためにギャップのある広告を」とオーダーを受けた」と語る岩田さんは、このポスターに2つのギャップを持たせたという。


1.ストーリーのギャップ
「いいことがあった!と思ったら一転、悪いことだった」という、誰の日常にも起こり得る共感しやすいストーリー。

2.キャラクターのギャップ。
「2枚目の竹野内豊さんがふつうの男と変わらない共感できる一面を見せる」という、ただカッコいいだけではない、お茶目さと親近感のあるキャラクター。

そんな「2.5枚目の男」を描いたこの企画。ポスターの最後にあるフレーズ「それでも、前を向く。」についても、岩田さんはこう続けた。

「お客さんに「一番自分のことを分かってくれるコーヒー」と思ってもらえることを目指しました。だからただ「悪いことがあった→頑張るぞ!!」ではなく、「いいことがありそうだった→そうでもなかった→それでも前を向こう」と日常の浮き沈み、心の機微までを丁寧にとらえてあげることで、もっと親身になってあげられるのではないかと思ったのです。そして、その上で背中を優しく押してあげられればと。また、心のモヤモヤ部分は日常のかなり小さい話になると思うので(笑)、できるだけ振りかぶった大げさな言葉で受けてあげた方がギャップが出て面白くなる。なので、「それでも、前を向く。」と。飲む時は前を向いていますし、デスクで仕事をしている時もパソコンに向かって前を向いていますし、そんなビジネスシーンともかけて言葉を決めました」

広告を見た方からは、twitterなどで「カッコいい」「気持ちが分かる」など、男女問わず様々な反応があったという。もちろん、商品の売れ行きも好調だそうだ。





「一人大喜利」から生まれるコピー

過去に坂口憲二さんや少年マンガのキャラクターを起用した「あるあるネタ」の広告で話題を呼んだRootsの広告。今回のポスターはどのように考えているのだろうか。岩田さんは言う。

「ここ最近は、どんなに面白いことが書いてあっても普通の「あるあるネタ」では見飽きた感があります。だから今年はただの「あるあるネタ」ではなく、3〜4行の中で時間の経過を感じるような、ストーリー性を持たせることを意識しました」

最初の1〜2行で上げられて、後半の3〜4行で落とされる。このユニークな枠組みが生まれた背景には、こんなエピソードがあるという。

「CMの企画がもともと上げて落とす、というストーリーだったんです。で、電車内広告もそうできないかと営業から相談を受けて。最初は営業にも「難しくない?」と言っていたのですが、「ラブレターをもらった。友達に渡してくれと。…みたいなこと?」などと打合せで話している中で、「もしかしたらいけるかも」という気になりました」

そのコピーはどうやって考えているのかと聞くと、面白い答えが返ってきた。

「もう、ほとんど一人大喜利です(笑)。まず会社や恋愛がらみのいいことをたくさん考えます。「サプライズだった」「彼女が笑った」「モテ期が来た」とかもう適当に。無責任に。で、その後に、それを受けてのオチになる裏切りの部分を考える。最後にちょっと調整したりしますが、完全に大喜利です。でもそうやって考えた方がコピー的なコピー文法でなくなり、ちょっと新鮮に見えたんです。例えば、「彼女があきらかにモテ期だ」はよくあるコピー文法ですが、「あきらかにモテ期だ。彼女が。」にするだけでちょっとドラマチックに見える。コピーを考えるというよりは、企画を考えることに近いかもしれません」


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また、このポスターには、共感を促すためのあるデザイン上の2つの工夫が施されている。それは、この数行のコピーにさらに物語性を持たせる、重要なしかけだった。

次回へつづく。





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岩田純平(いわた じゅんぺい)
養命酒製造を経て、2006年に電通入社。JT「ルーツ」、サントリー「角」、「トリス」、東芝「10年カレンダー」などを手がける。2002年度TCC新人賞、2005年度、2008年度、2009年度TCC賞受賞。

Roots新作ポスターは、11月12日(月)から展開中!

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