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広告コピーの中には、ストーリー性が強く、
詩や短編小説のような世界観で綴られたものがあります。

コピーライターは、その物語をどうやって書いたのか。
ふだん何を考え、何を思っているのか。
その「舞台裏」をご紹介します。

もしかすると、小説よりおもしろいと思える広告コピーが
この中で見つかるかもしれません。

第四回の物語



いいか悪いかは
別として
と前置きされて




いつも悪いことばかり
言われる。



それでも、
前を向く。

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やまない
雨はない。




傘を忘れる
たびに思う。



それでも、
前を向く。

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目と目が合った。
彼女が笑った。




苦笑い
だったけど。


それでも、
前を向く。

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【JT「Roots」のポスター】
コピーライター:岩田純平
クリエイティブ・ディレクター:中澤真純
アート・ディレクター:工藤章子
デザイナー:佐藤聡宏 
フォトグラファー:須藤秀之

第四回の舞台裏


物語を広げるデザイン

今年4月から5月に展開されたJTの缶コーヒー、「Roots」のシリーズ広告。竹野内豊さん演じる部長の、カッコよくもお茶目な一面が見られるこの広告は、twitterなどでも多くの反響を呼んだ。この広告を担当したコピーライターの岩田純平さんは、「コピーの面白さだけでなく、デザイン上の2つの工夫が、より物語性を引き立てた」と言う。


1.最初の文と最後の文の間にある余白スペース
2つの文章の間にある思いきった余白。この余白が、コピーに時間の経過や語り手の複雑な思いを感じさせ、短い文章の中に物語性を持たせた。また「フリ」と「オチ」の間にタメをつくることで、「オチ」の驚きを演出したのだ。「この余白はコピー史上に残る発明なのではないか」と岩田さんは笑いながら語る。

2.誌面の上部にレイアウトされたコピー
竹野内さんが物思いに耽っている印象を強めるために、頭の上にコピーを配置した。マンガの吹き出しにも近い考え方だ。「このデザインを考え出したアート・ディレクターの工藤さんには、特に感謝しています。コピーをしっかり理解して、さらに企画を面白くしてくれるアート・ディレクターはコピーライターの宝です。」と岩田さんは語る。



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誌面の上部にレイアウトされたコピー。
コピーとコピーの間には余白がある。



説明なしでは、余白の意味や吹き出しの役割に気づかないかも知れない。ただ、このポスターを見ると感覚的に「竹野内豊の心の言葉」として、すんなり目に入ってくる。頭ではなく心に届くのが物語。まさにプロのデザイナーならではの技だ。



言葉を磨く「一人打合わせ」

岩田さんはコピーを考える時、必ず一度ノートに書き出すそうだ。

「最初はだいたい手書きです。いきなりパソコンに打ち込むと、それだけで変な達成感が出てしまうので。まずはノートとかオリエンシートとかにコピーや企画のアイデアを書き出して、いったん時間をおく。コピーを書いている時は、一種の興奮状態というか、少し普段とは違うテンションで書いていますから(笑)。別の日に見直してみると客観的に見られるので、いいコピーも見えてくる。そこでまた手直しし、新しい視点からコピーが生まれることもあります」。


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岩田さんのノート。見開きいっぱいに文字が埋め尽くされている

ノートに書いてからパソコンに打ち込む、という流れにも意味があるという。

「パソコンに入力する際、ノートにベースとなるコピーやアイデアが書いてあると、そこからさらに発展したコピーが生まれることもあるんです。また、ちょっと別の話ですが…例えば、女の子のかわいい手書き文字で「すき」って書いてあると、いいものに見えるじゃないですか(笑)。それといっしょで、手書きだと字に人のぬくもりや人間味が出て、時々いい言葉に見えてしまうんです。だからパソコンの機械的な文字でも伝わる言葉になっているか、常に客観的にチェックしながら入力しています」

コピーを書く際、誰かに相談したり、打合わせることはほとんどないという岩田さん。それは書いてから時間を空けて見直したり、ノートからパソコンに入力する際に見直したりと、自分一人で客観的に見返す時間を何度も持っているからだろう。今回の「Roots」のコピーも、そんな「一人打合わせ」から生まれていたのだ。


「なんか好き」をつくる

「今回の企画は、「こんなにカッコいい男性(竹野内さん)でも、いろんな目に合いながら生きている」というその落差が面白さのポイント。落差が大きければ大きいほど面白いし、親近感も沸き、感情移入できる。シリーズ広告を続けていく間に、この企画を受け(入れ)ていただいた竹野内さん、そしてJTの方々との信頼関係が強まっていくのをひしひしと感じました」

どんなに企画が面白くても、世に出なければ意味がない。タレント、クライアント、制作者が一体となって、広告を見る側の気持ちになれたことが、成功のポイントなのだろう。

「僕がお客さんだったら、何と言われたら買うだろう。そんなことをいつも考えています。広告をつくっている時間以外は、僕だってお客さんの一人なのですから。缶コーヒーを買う理由って、味や値段もありますが、「なんか好き」みたいな感覚部分も大きいと思います。その「なんか」の部分をちょっとでも刺激できていたら嬉しいです」

味覚や金額はもちろん、感覚的に好きになってもらうために、「ボツ案も含めて、年に約2000本はJTさんの仕事でコピーを書いています」と語る岩田さん。その中から厳選された数作品が、今月(2012年11月)から新たに展開されている。ルーツオフィシャルWEBサイトでチェックしてみよう。わずか数行で描かれた、カッコよくもお茶面な男性の物語にあなたも惹き込まれ、いつの間にか「なんか好き」になっているかもしれない。




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岩田純平(いわた じゅんぺい)
養命酒製造を経て、2006年に電通入社。JT「ルーツ」、サントリー「角」、「トリス」、東芝「10年カレンダー」などを手がける。2002年度TCC新人賞、2005年度、2008年度、2009年度TCC賞受賞。

Roots新作ポスターは、11月12日(月)から展開中!

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