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広告コピーの中には、ストーリー性が強く、
詩や短編小説のような世界観で綴られたものがあります。

コピーライターは、その物語をどうやって書いたのか。
ふだん何を考え、何を思っているのか。
その「舞台裏」をご紹介します。

もしかすると、小説よりおもしろいと思える広告コピーが
この中で見つかるかもしれません。

第十二回の物語



人間の心にある
そのモヤモヤに
ぐしゃぐしゃに
ふわふわに
ザワザワに
わけのわからないその
何かに
名前をあたえること。

それがコトバ。

この春から
message from VIVRE




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コピーライター, クリエイティブ・ディレクター:三井明子
アート・ディレクター:高井 薫
デザイナー:引地摩理子 / 石黒高志
フォトグラファー:瀧本幹也
プロデューサー:岸良真奈美 / 高橋直子 / 根津 勉



第十二回の舞台裏


グラフィカルなお洒落絵解きを

手を振る女性と、淡い色合いのグラフィックにシンプルなコピー。2012年春、ファッションビルVIVREの店内に掲載されたポスターを手がけたのが、コピーライターの三井明子さんだ。


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コピーライターの三井明子さん

「今回は、『夏は水着を売りたいから水着のビジュアルとコピー』みたいな、販促の延長のポスターとは一線を画したい、とクライアントからご要望をいただいていました」

むりやり「売り」につなげるのではなく、ファッションビルとお客さまを結びつけるきっかけになる広告。そんなお題を受け、企画案を考える日々がつづく。

「ラフォーレ、パルコ、ルミネなどのファッションビルが、広告でそれぞれの個性を打ち出している中で、VIVREの広告としてどんな新しいことができるか。それをアート・ディレクターの高井薫さんと何度も考えました。それで、最終的にVIVREからお客さまへのメッセージカード、というコンセプトで、シンプルな言葉をそのままビジュアル化する、グラフィカルな『お洒落絵解き』を提案しよう、ということになったんです」


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左上からそれぞれ、春、夏、秋、冬のポスター。



ダメ出しから見えること

各季節ごとに「こんにちは」「あついね」「おいしいよ」「だいすき」と、シンプルなキャッチコピーで展開しているシリーズ広告。企画当初は、このままキャッチコピーとビジュアルだけで展開する予定だったそうだ。

「でも、こういったシンプルなポスターをVIVREさんでは今まで展開していらっしゃらなかったので、お客さまはもちろん、売り場の方もビックリされてしまうという話になり、『新しいことを始めます』という宣言になるような文章が入ったポスターを追加でつくることになったんです」

最近はコピーライターだけでなく、クリエイティブ・ディレクターも兼任することが多い三井さん。今回の仕事も兼任だったため、文章をつくる際にあることに気を使ったという。

「本当はいつも、ダメ出しをしてほしい自分がいます。『このコピーでいいんだろうか』という不安が常にあるんです。でも、私がクリエイティブ・ディレクターでもあるので、みんながダメ出しをしにくい感じになっていて(笑)。『ちょっと今コピーで迷ってて、むしろ直したいと思ってるんだけど、どう直せばいいと思いますか?』みたいな感じで、スタッフの方々が本音を言いやすいように聞いてみたりもしました」

また、社内だけでなくクライアントとも意見を交換し合ったそうだ。

「最初は文章は「グチャグチャ」「ぎとぎと」といった表現で、あえて挑戦的な原稿にしていたんです。それをクライアント様とも相談し、「ふわふわ」「ザワザワ」と表現を変えてゆきましたが、最終的にいい方向に向かったと思います。「グチャグチャ」や「ぎとぎと」のままだと、ネガティブな感じが強過ぎたかもしれませんし。表現自体へのこだわりよりも「一番いいカタチで伝わってほしい」、という思いが強いので、意味を変えずに、より「好き」になってもらえる文章になるなら、もちろんそれを取り入れます。逆に『ここは書き直した方がいいんじゃないの?』とご指摘を受けた際に、『いえ、実はこういう理由でこのままが良いと思うんです』と答えられた時は、『このままでいいんだ』と、自分の中で再確認になったりもします」


そしてでき上がった文章が、冒頭のコピーだ。結果、お客さまへのアピールはもちろん、売り場の士気も高めるブランド広告として、全国の店内を彩った。

「春以外でも『ファッションの秋』に、再度文章の入ったポスターを掲出しています。秋は2つの異なるストーリーで展開しました。デザインも春夏の淡いトーンから、バックに濃い色を敷いて季節感のある印象強いものを目指しました」



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秋のポスター。



言葉の強さが全面に出ている今回のキャンペーン。春にポスターと同じデザインのメッセージカードを店内に置いたところ好評で、そちらも年間を通して制作することになったそうだ。そしてキャンペーンのラストを飾る2012年の冬、店頭に置かれたのは、なんと回文のメッセージカードだった。



次回へつづく







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三井明子(みつい あきこ)
中学校教員、職業訓練生、コーセー宣伝部などを経てアサツー ディ・ケイ コピーライター。TCC賞、TCC新人賞、ACCゴールド、アジア太平洋広告祭グランプリ、クリエイター・オブ・ザ・イヤー・メダリストなど受賞。東北芸術工科大学 非常勤講師。


新刊案内

Web未公開の広告コピーや
制作秘話も!
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『物語のある広告コピー』

1,500円+税(216ページ)

本書では、ストーリー性が強く、詩や短編小説のような世界観で綴られた広告コピーを紹介します。コピーライターの「教科書」としてはもちろん、ストーリーを味わう「エッセイ・物語集」としても楽しめる1冊です。

【掲載作品】
女子ではなくて、女の子。(earth music&ecology)
泣いたオムレツ(ユナイテッドアローズ)
海も山もある故郷を、なにもない町と呼んでいた。(五明)
人生が、ラブストーリーでありますように。(明治)
南アフリカの父へ(朝日新聞)
日本一おいしいうどん屋(名古屋広告業協会)
など、約100作品

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