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2012年12月に小社より発売された
『カバーラン  アダム・ヒューズ カバーアートコレクション at DCコミックス』。
アダム・ヒューズもアメコミも知らない。
そんな方のために、この本がどんな本なのか、
さまざまな方に語っていただきます。
知ってる人も知らない人も、本書の見方が見えてくる、かもしれません。

第2回 大橋徹二店長からみた『カバーラン』


第2回目はアメコミ専門店「BLISTER comics」大橋徹二店長からみた『カバーラン』。邦訳される前の『カバーラン』はアメコミ販売のプロの目から見るとどのような存在だったのだろうか。

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アメコミ専門店「BLISTER comics」


ここ最近アメリカン・コミックス、いわゆるアメコミの邦訳が何かしら毎月刊行されるようになり、そのありがたみや驚きの感覚が徐々に麻痺してきた感もありましたが、今回ばかりは相当の衝撃を受けました。

初めて『カバーラン』の邦訳を知った時の戦慄、ついに来たか…という喜び。なぜならこのアダム・ヒューズのカバーアート集である『カバーラン』は、当店にとってスペシャルな書籍だったからです。

収録されている絵が技術的にどうこうとか、アメコミ界における「アダム・ヒューズ」の位置など、書評/解説はその道のプロな方にお任せいたしますので、何がどうスペシャルだったのかという体験談をもちまして、本書のご紹介とさせていただきます。


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アメコミを売るということ

そもそも当店とは、日本橋浜町にあるアメコミ専門店「BLISTER comics」。かつて原宿や渋谷でアメコミだけでなく海外玩具やキャラクターグッズを販売するお店を構えていましたが、現在はアメコミ専門店という形態となり、もうすぐ4年になります。

アメコミ専門店といってもどんな感じか、ピンと来る方は少ないでしょう。まずアメコミ専門店とはアメコミ新刊を販売するお店です。都内のみならず全国でも数店舗あるかないかのの存在です。これが普通の本屋さんとどう違うのか、若干の説明が必要かもしれませんので、前提としてつらつら。

取り扱っているのは主に毎月(タイトルによっては隔週であったり期間限定週刊であったり)1話づつ刊行される「コミックブック」、いわゆる「リーフ」※1というものになります。そのほとんどは初版刊行でそれっきり二度と手に入りません。

また一般書店と違って再販制度もないため、売れ残ったからといって返品することもできません。売れそうだから大量に仕入れたら売れ残るとか、売れないと思ってたら人気ですぐ完売などということが、日々当たり前のように起こります。

そこでお客様は買い逃しリスクを避けるため、お店としては在庫リスクを軽減するために、発売予定のコミックが掲載されたカタログ雑誌※2を見て、事前に欲しいタイトルを予約していただく。その予約数からコミックの人気をはかり、タイトルごとに店頭販売分を追加発注する…という運用をしております。この予約分のほうが、店頭で販売するより圧倒的に多いのが実情です。

「本を仕入れて店頭で売る、売れなければ返本」という日本の普通の書店業態ではなく、取り寄せ代行がメインで、おまけで店舗があるとイメージしていただければと思います。それこそ予約分しか入荷しないタイトルも半分以上あったりしますし。予約を受付して集計・発注、入荷したら引き取ってもらうという「既定フロー」の繰り返しです。

以上を踏まえて『カバーラン』がどうスペシャルなのかと言えば、この既定フローからはみだした書籍だったという点なのです。

カバーラン

まず予約が今までにない数だったという点。

当店の予約の大半は、初版のみで絶版となるリーフになります。リーフ以外の数話をまとめた単行本や情報誌、ガイドやアートブックなどの予約は、あるにはあるのですが、少ない。

しかし、アートブックなのに『カバーラン』の予約数は凄かったのです。アダム・ヒューズが自作を語るという、まさにファンが待ち望んでいた内容だけに大きな話題を呼んだのでした。

そして入荷後の反響も想定外。

アートブックはほとんど店頭での販売はしませんが、あまりに予約数が多かったため、試しに在庫を多めに発注してみました。

すると、この売れ方がまた特別で。「買う」と決めていた方はすでに予約されていたので、店舗に置いてある分は、そんなに動かないだろうと思っていた。ところが結果は完売です。それではと再入荷しても、売り切れる。問屋さんに在庫がある限り、再入荷しても売り切れを繰り返し、売れ続けるという状況が2010年の発売以来、今もなお継続しています。

当店にご来店される方はおよそアメコミが目的です。確かにその時点で購買層はある程度ふるいにかけられているため、一概には言えませんが、それでも実店舗で売れるということは、「カバーラン」には「見たら欲しくなる」という魅力がある証し。さらに、元々アメコミ好きだった方にもウケけるし、「新たにアメコミ好きになった」という人も取り込んでいるということだと思います。

本来入荷して完売した時点で取り扱い終了、それでも返品できないので在庫は増えていくというのが当たり前…という中で、ここまで幾度も再入荷を繰り返した書籍は他にありません。常時販売中とはいかないことを差し引いても、極めて異例です。いつかは売れ行きが止まるはずが、止まらない。

初動から現在に至るまで、他の書籍とまったく異なる過程を経た結果として、当店でのアートブック販売実績は桁違いで1位。それがこの『カバーラン』なのです。

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邦訳の衝撃と期待

そうはいっても、所詮は日本橋浜町という、ちょっと辺鄙な場所の店舗でのお話。アメコミ販売店で一番売れてるって言っても、たかが知れていると思われるでしょう。

日本橋浜町以外では、洋書も取り扱うような大型書籍店くらいしか、「カバーラン」に触れる(実物に触れる)機会がないような状況。そして、どんなにアメコミが邦訳されたとしても、カバーアートが活動拠点なアダム・ヒューズでは本来の形で日本まで届くチャンスは、ほとんどありません。※3

「ほんとは違うのに。凄いのに。あまりにもアダム・ヒューズが日本に届いていなさ過ぎる」そんな歯痒さがが、常にありました。

でも、最高の選択肢がありました。それがこの『カバーラン』の邦訳出版です。

そうか、その手があったか…と。これなら日本全国に広まる可能性がグンと高まるではないですか。今更さらに戦慄。そして刊行された後の期待。

ただ、アダム・ヒューズがどんなに凄いとしても、見たことがなければ欲しくもならない。でも、アダム・ヒューズをまったく知らなくても、見れば必ず何らかの衝撃を受けるはず。全国の書店は、試しに入荷してみればいいんです。英語はちょっと…という方も、邦訳なら躊躇する理由ありません。モニターでしか見たことがない人も、本屋さんで現物を目にすれば「欲しくなる」魅力に捕われることでしょう。

それはそれは凄いことになる(はず)と、今は期待しかしていません!!



※1 32pほど。日本の週刊誌の中で、1作品だけ切り売りされているイメージ。「BLISTER comics」では毎週20〜50種が店頭発売されている。

※2 コミックカタログ「PREVIEWS」 
こちらのお店だけでなく、全米の書店さんが利用しているカタログ。毎月発行され、主な新刊コミックをチェックすることができる。

※3 日本では合本のため、何枚もあるカバーが1枚しかみることができない。さらにアダム・ヒューズが描いた作品は邦訳されていない……。


決4310_カバーランJAC.jpgカバー ラン
アダム・ヒューズ カバーアートコレクション at DCコミックス

強い! かわいい! 美しい! 最強のカバーアート集登場


イラストレーター・漫画家 コザキユースケ氏も絶賛する、アメコミ界トップクラスのカバーアーティスト、アダム・ヒューズの20年以上に渡る成果をまとめた超豪華画集。
『キャットウーマン』『ワンダーウーマン』などのカバーイラストをラフ・制作秘話とともに掲載。日本版特典として 最新カバーも掲載!