さてさて今宵も
恐ろしい夜の始まりじゃ
ひゃっひゃっひゃ
月明かりが差し込む森の中、
見上げるとそこには、懐かしい香りが……
ナオミの心に声が響いてくる。
故郷の寂しさを妾がいやしてやろうぞ、
おっかあ~、
ナオミはその影を見て
眼を覚ました。
夢から目を覚ましたナオミ
「何だ夢か……」
しばらくすると御用心が現れる
するとナオミが突然叫んだ、
「あっおっかあだ!」
「なるほどな、だまされるなナオミ」
やつの名は 針口(しんこう)、品のない妬ましい心から、
人をだまし続けている餓鬼じゃ、
すると見る見るその女は姿を変えた。「流石ですね青鬼さん」
「赤鬼、そやつの業火には気をつけろ」
「ほほほほほ、お久しぶりですねアンドリュー」
あなたの体もうまかったが、その娘も又格別美味しそうな」
すると、針口はその口から細い舌を出し火炎を吹き出した。
思いもよらぬ攻撃に業火に包まれる赤鬼。
「だから言ったのに……」
青鬼は頭を抱えた。
「何とかならないの?」
ナオミは青鬼に詰め寄った。
「心配するなそうは言っても赤鬼は無敵じゃ」
すると炎の中より赤鬼がにじり寄るのが見えた。
赤鬼は燃える難破船の中で炎に包まれた、
絶望の業火の中で鍛えた心、それが赤鬼を強くした。
慌てた針口は、「これはかなわん、この場は身を引こう」
と叫んだ。すると赤鬼は言った「いや逃がさん!!」
そう言ってゆっくりと四股を踏んだ。
青鬼はさっと赤鬼の前に飛び出し、ハッキョイと音頭をとる。
針口は叫んだ、
「待て待て! 話し合おうではないか!」
青鬼はそれを無視して「ノコッタ!」と叫び赤鬼は必殺、内無双を決めた
針口はあまりの衝撃に完全なる負けを受け、罪悪感に目覚め小さくなって行く。
それをナオミはここぞとばかりにコレクションに加えた。
こうして赤鬼を食べた餓鬼は三匹目となり、青鬼はナオミに言った。
「流石の餓鬼もお前に掛かればただのおもちゃというわけか、ひゃっひゃっひゃ」
赤鬼はぼそりと呟いた。
「ミーを貪った餓鬼は全部で五鬼、これで残りは二鬼か……」
さてさて、
赤鬼を食べた餓鬼はあと二鬼だが
見届けた餓鬼は十三鬼、
残りの餓鬼は二十三鬼
まだまだ道のりは長いのう〜
ひゃっ
ひゃっ
ひゃっ!
今宵の餓鬼はどんな餓鬼?
こんなわしらに何か妖怪?
≫第9話
著 竹安佐和記
http://www.crim.co.jp/crim/Top.html
イラストレーター・ゲームキャラクターデザイナー
主な仕事
『デビルメイクライ』 モンスターデザイン
『鉄騎』 モデル製作担当、パブイラスト
『大神』 妖怪デザイン
『El Shaddai』 ディレクション、キャラクターデザイン 等
©Sawaki Takeyasu. All Rights Reserved.
ゲーム&アニメ キャラクターデザインブック
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2009~2011年に発表されたゲーム・アニメを中心にキャラクターデザイン画を紹介。ゲームとアニメの垣根を取り除き、今、どんな絵柄が必要とされているのかが本書でわかる一冊です。 副島成記、金田榮路らのインタビューも収録。