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    書籍『クィア・アートの世界』へのご指摘に対するお詫びと制作意図

    平素はパイ インターナショナルの書籍に格別のご愛顧を賜り、厚くお礼申し上げます。
    2022年9月14日に発売した書籍『クィア・アートの世界』について、書籍の内容紹介文の中で、「クィア」という言葉の説明に誤解を生じるような表現をしてしまい、多くの方々に御不快な思いをさせてしまいましたことを心よりお詫び申し上げます。

    ■「クィア」という言葉、「クィア・アート」に関しまして
    「クィア」という言葉はもともと「変わった」「風変わりな」といった意味を持ち、英語圏では同性愛者などに対する侮蔑表現でもありました。けれどもその否定的なイメージを変えるべく、あえて当事者の方々が自己肯定的に自らを「クィア」と名乗り、用いるようになりました。
    当事者の方々に対する呼称を抑圧する側が定義するのではなく自らが定義する力を取り戻すため、また社会における否定的なマイノリティ像を逆転させることを目指し、現在は性的少数者全体を包括する用語として肯定的な意味でも多く使われています。
    「クィア」は、1990年代から「クィア理論」として思想、哲学、文学などの領域で発展していき、セクシュアルマイノリティの多様なあり方、「性の多様性」を包括的に知るための学問としても研究されるようになりました。
    そして21世紀に入った頃から「クィア・アート」というジャンルが世界中ではっきりと意識されるようになりました。
    近年では、「アート史におけるクィア」を考えるという傾向が、世界的にさらに広がっています。
    けれども、その新しいアート史の試みはまだ始まったばかりです。

    「クィア」という言葉はとても多様で、世界的にもさまざまな意味合いを含み、その範囲も広く、共通の認識には至っていない部分が多くあります。
    こうした複雑で大切な問題であるにもかかわらず、こちらの配慮が至らず、本書の書誌情報(内容紹介文)に「クィア(ちょっと変わった、不思議)」とのみ記載したことで言葉足らずなものとなってしまいましたことを深く反省しております。
    かつて侮蔑的なニュアンスで用いられていた「変わった」の意味を、当事者の方々自身の力で肯定的なニュアンスに逆転したところに大きな魅力があると考え、用いた表現でありましたが、上記のような「クィア」という言葉の歴史や社会的変遷等をしっかりと記述せず、皆様に誤解を与える結果となってしまいましたことを重ねてお詫び申し上げます。

    ■書籍『クィア・アートの世界』の制作意図
    本書の制作に至る動機は以下の三点でございます。
    まず第一に、抑圧や偏見、差別によってアートとして語られず、それ故にこれまで私たちが目にすることができなかったアートを見直したいという思いから、本書の制作に至りました。

    第二に、「クィア」という言葉がとても多様で共通の認識がないため、それを考える一つの試みとして本書を制作したいという思いがありました。
    そして、「クィア」を日本で考えるためのきっかけをつくりたい。日本における「クィア」についての理解が広がり、「クィア」について考えるための本になればという思いをこめて制作をいたしました。
    まず本書では、「クィア」がいかに社会的、歴史的に変遷していったかを述べております。
    「クィア」は現在、セクシュアルマイノリティを表す社会的に重要な概念ですが、本書ではさらに、「アートにおけるクィア」をセクシュアルマイノリティに限らず、その域を超え、抑圧や差別等によりアートとして語られてこなかった広いジャンルの作品を包括して取り上げました。
    「クィア」の問題を受けとめて多方面から考え、そのあり方を認識することは、アートのみならず文学や映画、演劇等の中に描かれる「クィア」性をより深く味わうことにもつながるのではないかと考えております。

    第三に、アートにおける「クィア」を考える上で、社会的に抑圧され差別を受けていたものが、アートにおいては歓迎され、多く取り上げられている、それがなぜなのかという問題を扱いたいという思いがありました。
    本書では、独自の視点で、古代エジプトから現代までのアート史における「クィア」の流れを図版とともに追っていき、「クィア・アート」の系譜を探究しております。
    美術史上の名作とされる作品の中に「クィア」性を見出したり、抑圧や偏見、差別によってこれまで見ることができなかった多様な作品を、驚きと感動、そして問題提起を含んだ解釈で紹介しております。
    本書で紹介した作品の中で、特にはじめて目にするものを見た際に、それを見た方が「不思議な作品だな」と特別な感覚を覚えることもあるかと思います。
    本書ではそこに素晴らしさを見出し、アートにおける不思議なもの、特別なもの、他にないものこそ価値があり魅力的ではないか? といった問いかけも試みております。
    「クィア」がアートの中で、すべての人たちの共通のものとして広がるために、そして「クィア・アート」の素晴らしさを多くの人が理解し共感できればという思いもこめて、本書を制作いたしました。

    さまざまな問題点を考えていくために本書を制作いたしましたが、多くの方々が「クィア・アート」について考えた時、多様な考え方があるのは当然のことで、たくさんのご意見、ご指摘があるかと存じます。
    その際は、その都度立ち止まって、ご意見やご指摘についてじっくり考え、今後の参考にさせていただきたいと思っております。
    そして、本書をご一読された方の中から、新しいクィア・アート論が出てくることを願っております。

    あらためまして、この度は皆様に誤解を与え、御不快な思いをさせてしまいまして、誠に申し訳ございませんでした。
    多数のご指摘をいただいたことを受けまして、本書の書誌情報(内容紹介文)を変更させていただきます。ネットストア等の情報も順次変更いたします。

    2022年9月22日
    株式会社 パイ インターナショナル

     

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