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    「一人の夜、自分だけのうさぎを見つけてください」〜絵本『星をつるよる』を描きながらキム・サングンが考えたこと〜

    4月14日に発売する青色が美しい韓国の絵本『ほしをつるよる』は、読んでいる間も本を閉じた後も豊かな気持ちになれる作品です。
    今回、本作の作者キム・サングンさんのインタビューが届きました。

    キム・サングンさんは、私たちに素敵な気持ちになる物語を、いつもプレゼントしてくれる作家です。前作『もぐらくんのねがいごと』は真っ白な雪原を舞台にした作品でしたが、最新作『星をつるよる』で描かれるのは、夜空の輝く星々へ私たちを連れて行ってくれるような、神秘的な青い風景。静かな夜にだけ感じられる、穏やかで深い感性を刺激するような作品です。

    [プロフィール]
    キム・サングン
    韓国・ソウル在住。子供の頃から絵を描いたり物語を考えたりすることが好きだったことが高じて、大学ではアニメーションを専攻。デビュー作、『もぐらくんのなやみ』(未邦訳)が2014年ボローニャ国際児童図書展で紹介され注目を集め、台湾のベストブック賞を受賞。また『もぐらくんのねがいごと』(岩崎書店)がアメリカの独立系書店が選ぶTOP10絵本に選ばれる。

     

    ――新作が出ました。2015年から準備されてきたとのことですが、長い間準備してきた本が出版された今のお気持ちは?
    本来なら『もぐらくんのなやみ』の次に出したかったのですが、納得がいかなくて、悩んでいる間に先に『もぐらくんのねがいごと』(翻訳版/岩崎書店)を出すことになりました。
    常に『星をつるよる』を早く完成させなくては……という気持ちが心のどこかにあり、苦しかったので今は清々しい気分です。宿題を終わらせてしばらくはゆっくりと眠れるのではないかと思っています。

    ――前作とは違い、全体的に青を基調とされていますね。
    少し前に子どもの読者が私の描く青は「サングンブルー」だと表現してくれて、この上ない称賛をいただいた気分でした。「わっサングンブルーだなんて!」と本当にカッコ良くて面白い表現だと思いました。『星をつるよる』は表表紙から裏表紙まで青で埋め尽くされた本です。
    色にはその色が持つ感情や雰囲気がありますが、私は青色が持つ基調の中でどんなことでも起こりうる幻想的なところが好きです。自分にとって何かを期待させる色、夜の雲の背後に隠された幻想的な青い夜のようです。

    ――可愛いらしいうさぎが出てきますが、子どもにとって、気持ちを一番わかってくれる友達のように思いました。謝辞にも書かれていましたが、キムさんにとってうさぎはどのような存在ですか?
    月にいるうさぎは子どもの分身だと考えています。住む場所や話す言葉が違っても(うさぎは「うさぎうさぎ」としか言わない)心を通わせることができるじゃないですか。特別な言葉はなくともお互いに分かり合える、癒されるあたたかいものすべてをうさぎに置き換えたかったのです。それは自分の祖母であり、家族、友人でもあります。
    あ、私の一番の親友である本を一緒に作ってくれた編集者とデザイナーの方もうさぎ年です。そばにいてくれる自分だけのあたたかいうさぎを見つけてほしいです。一緒に遊んだり、辛い時にそばで慰めてくれたりする自分の分身のような何かを。

    ――今回、4冊目の絵本で、初めて人が登場しましたね。
    私も子どもの頃、寝ようとすると目が冴えてしまって眠れませんでした。今もそうなのですが。もっと遊びたいし、寝るのがもったいなかったのだと思います。その時のことを思い出して「眠れない登場人物の中に子どもがいれば、読者のみなさんが親しみやすさや共感を持ってくれるのではないか」と思いました。

    ――絵本を読んであたたかい気分になったらよく眠れそうです。キムさんは一人で起きている時は何をされていますか? また、よく眠れているのか気になります。
    最近はよく眠れています。普段は、話と絵を少しずつ描き溜めていくタイプです。この物語も、作業をしながらよく考えていたことが始まりでした。深夜や明け方に作業をすることが多いのです。家族はみな寝ているのですが、一人で起きていて静かにコツコツと絵を描いていました。その時に「こんな遅い時間に自分みたいに起きている人はいるのかな? たまに、そんな人たちと会って話をしたらどうだろうか?」と思ったのです。

    ――キムさんの絵本には「あたたかい、心地よい、かわいい」というような修飾語がついたりしますが『星をつるよる』もそうだと思います。普段からこのような物語を好まれるのでしょうか。今回の作品はどのように思いつかれたのですか?
    どんなにがんばっても眠れないことがあるように、生きていると、どんなにがんばっても思うようにいかないときがあります。「みんな寝ているのに、なぜ自分だけ眠れないの?」と、悲しくて力さえ出ないようなときです。
    そんなときに、あたたかい星が自分のもとに降りてきたらどうだろう?と考えてみました。人生が常に幸せだとは限らないじゃないですか。この絵本が読者のみなさんのあたたかい癒しになればという思いです。

    ――キムさんもあたたかい人ですか?
    子どもを見れば親がわかるように、本にも作家の姿がある程度込められていると思います。(自分があたたかい人だと言っているわけではないですよ!)

    ――作業が進まない時の解決方法はありますか?
    作業をしていると、頭が真っ白になることがあります。煮詰まっている状態です。そんな時は歩いたり、何か新しいことをしたりします。この本は旅行に助けられました。
    はじめのアイデアは、両親との旅行中に思いつきましたし、作業の途中で頭が真っ白になったときはアフリカのナミビア旅行からインスピレーションを得て、この白い紙に何を描けば良いのかが分かりました。おかげで無事に本を完成させることができました。

    ――次回作を少しだけ教えてください。もぐらの話ですか?
    もぐらのまた別の話かもしれませんし、新しい話かもしれません。おそらく、早く完成させた話をまず先にお見せすることになるでしょう。

    ――この本の中で一番気に入っている場面を一つ選んでください
    「うさぎうさぎ」と言いながら安らかに眠りにつくうさぎの上に、友達の星座が広がる夜空の最後の場面が心に残っています。
    この本を作りながらよく考えていたテーマが「一人じゃない夜」です。本当は一人だけど、一人じゃない夜を描きたかったのです。最近は一人で生きるという個人の人生の価値が注目されていますが、誰でも一人になりたくないという気持ちが根底にはあると思います。そんな一人の人たちが集まれば、少しはあたたかな人生になるのではないでしょうか。その心が伝わって、受けとったあたたかい気持ちをまた他の誰かと分かち合えたらと思います。

    (翻訳協力:小松洋子)

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