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    やさしい色合いの、手描きのイラストに心癒されると話題。 ドイツ在住の作家、ずがぐまさんが『とびらのむこうのふしぎなおみせ』に込めたメッセージ

    主人公のももちゃんが、いろいろな形の扉をあけて、様々な出会いを経験する物語絵本『とびらのむこうのふしぎなおみせ』。ずがぐまさんによる優しくあたたかみのあるイラストは、水彩と色鉛筆を使ってすべて手描きで描かれています。今回は、ずがぐまさん自身に制作の裏側とドイツでの暮らしについて語っていただきました。

    猫二匹が遊びにくる、ドイツ自宅のアトリエ。

    ケルン大聖堂のある駅から、車で15分ほどの郊外に夫と2匹の猫と暮らしています。猫の名前は、黒白の子がフリーダ。茶虎の子がビトです。この子たちは「ティアハイム(Tierheim)」という、いろいろな動物をひきとるドイツの里親システム(ヤギや亀の里親まで募集していました!)で出会いました。

    『とびらのむこう……』の絵はすべて手描きです。失敗すると描き直しになってしまうので、時間も神経も使う作業なのですが、製作中にはこの二人がアトリエにやってきて、堂々と画用紙の上に座るので、目が点になります(笑)。私を癒しに来てくれてたのかな。

    着彩は水彩と色鉛筆を使っています。絵具はシュミンケ社(ドイツ製絵具の代表的なメーカー)のもの。発色が素晴らしい絵具でフリーマーケットで手に入れてからちょこちょこ買い足しています。色鉛筆はファーバカステルを使っています。水にとけないタイプのものが好きです。紙はフランスのラナというメーカーのもの。色のりの具合がしっくりきて、とても気に入っています。ちょっと高価なのですが(汗)思い切って買いました!素材の良い画材を使って気持ちをあげています。画材はまだ試行錯誤中です。

    飼い猫のフリーダちゃん。アトリエのデスクの上でポージング。女の子でヒゲのような模様がかっこいいため、画家のフリーダ・カーロから「フリーダ」と名付けたそう。

    アトリエのデスクでうとうとしているビトくん。がっしりした体格ですが、性格は大人しいそう。デスク前にあるストーブが気持ちいいのと、邪魔しないように彼なりに気をつかって端っこによっているのだとか。

     

    構図を壁に貼ってシミュレーションした後、下絵、着彩と、一枚いちまい丁寧に仕上げていきます

     

    ドイツやヨーロッパの街並みが、作画のヒント

    ももちゃんが引っ越してきた街には、いろいろなタイプの家が登場しますが、ドイツの街並みも、作画のヒントになっています。たとえば外壁に骨組みが露出している、ヨーロッパの伝統的な木造建築の建物。最終ページに登場するももちゃんのお家の外観も、この構造で建てられているので、注目してみてください。また、ももちゃんの家の扉のモデルは自宅のドア。くまさんのパン屋さんの扉は、オランダ旅行で見かけた倉庫の扉がモチーフになっています。

    家の近くにあるという公民館。古い建物がそのまま活用されています。

    ご自宅のドア。約1世紀前に建てられた、煉瓦造りの建物をリノベーションしてお住まいです。

    オランダ旅行で通りかかった土手の下にあった、赤い扉の倉庫。

     

    扉から部屋の中に入っていくような、奥行きのある構図に。

    『とびらのむこうのふしぎなおみせ』はタイトルどおり、「とびら」が重要なモチーフになっています。主人公が出会う、様々な不思議な形の扉。そして、そこへ向かっていく様子の絵は、左から右へ主人公が歩いていく、あえて単純な構図にし、ドアに続くお店のページは、絵本を読んでいる方も一緒に入っていくような感覚になるよう、奥行きのある構図に描きました。

    お店の絵の中でも個人的に気に入っているのは、やぎさんの牛乳屋さんのページです。つめたくておいしい牛乳が飲める(ヨーロッパはあまり冷たい飲み物がなく、こちらに来た当初飲みたかったという思いも込めて)、清潔感のあるエレガントなヨーロッパ調にしたいと思って描きました。下書きの段階から、頭に浮かんでいたものを、うまく形にできたかなと自分では思っています。このページを描いてから、他のページのタッチも自然と決まっていきました。ヨーロッパ以外にも、おさるさんの果物屋さんはメキシコ風、猫さんのスパイス屋さんはモロッコ風に描いています。

    やぎさんの牛乳屋さんのモチーフになったミルク缶はドイツのフリーマーケットで手に入れたそう。

     

    いろいろな国のドアを開けて、想像をふくらませてほしい

    扉はヨーロッパ風だけでなく、いろんな国のドアを開け、色々な人や物に出会うことをイメージして描いています。ドイツに住んでいると、移民問題やロシアとウクライナの戦争を身近に感じます。この絵本は新しい扉を開けていく、勇気のようなものがテーマになっていますが、国や人種の違いによる諍いが、はやくおさまりますように、という願いも込めました。

    また、ゆっくり絵を楽しんでもらえるように、動物たちのページにはいろいろな食べ物、ももちゃんの部屋には小物をたくさん描きました。おそらく、小さいお子さんが見たことのないチーズや果物もたくさん登場します。私が様々な国で見た知らない食べ物をみてワクワクした気持ちを、読者の方々に感じてもらい、いろいろなことを想像するきっかけになれば、とても嬉しいです。

     

    プロフィール ずがぐま
    女子美術大学デザイン科卒業。フランス留学を経て、ドイツ国立デュッセルドルフ美術アカデミーで学ぶ。2006年よりドイツ在住。ドイツの小・中学校の図工、美術教員や、リトアニアのギムナジウム(中等教育機関)、美術療法のボランティア活動など、美術の役割をテーマに幅広く活動している。著者に『ずがぐまくん工作ブック かいてみよう 作ってみよう』『民族衣装のぬり絵ブック』(小社刊)など。

    △「ずがぐま」名前の由来は?
    美術教師をしていたときに図工が大好きな「ずが(図画)ぐまくん」というキャラクターをつくって、子どもたちに教えていました。ずがぐまの顔を黒板に描き、教室の状況の応じて表情を変えると子どもたちも親しみを持ってくれ、「夜は図工室一人で、ずがぐまくん寂しくないかな」と聞いた生徒もいました。すがぐまは、私の友達という設定だったのですが、ずがぐま先生とよばれていたことも(笑)。生徒たちが親しんでくれた、「ずがぐまくんが描いた絵本だと、教え子たちも喜んでくれるかな」と思いこの名前を作家名にしました。

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