『かいじゅうたちは こうやってピンチをのりきった』繁体字版発売に寄せて
絵本作家とドクターでつくる、これからを生きる子どもたちのための絵本『かいじゅうたちは こうやってピンチをのりきった かいじゅうとドクターと取り組む1 不安・こわい気持ち』が今年、繁体字版として台湾で発売となりました!
そこで著者の新井洋行さんから台湾の読者に向けたメッセージを特別に公開いたします。
Q. 過去のインタビューで、このシリーズの絵本を制作する際、お子さんとの経験の一部からインスピレーションを得たとおっしゃいましたが、どのような経験をされたのでしょうか?
子どもが出来てから親として子ども達の感情の動きを自分のことのように肌で感じてきました。すると自分は怖いと思ったことがないこと、自分だったら怒らないようなことに子ども達が恐れたり怒ったりするので、自分の人生では体験してこなかった感情の動きを共有できました。例えば高い所が怖いとか、犬がものすごく怖いとか、自分の思うようにいかないことでひどく怒るとか、そういう子ども達の姿を見て人はそれぞれ違うことで感情が強く動くのだなと知ることができました。
Q. 『かいじゅうたちは こうやってピンチをのりきった』は「怖い気持ちや不安な感情」についての絵本で、中には50匹のかいじゅうが描かれています。それぞれが恐怖を引き起こすさまざまな事物を代表しています。お子さんの怖いことも怪獣たちになって、この本の中に出てきますか?
娘は幼い頃、暗い所を怖がっていました。あと注射がものすごく怖かったみたいです。お化けも怖いし、水も怖い、遅刻も怖い、泥棒も怖い、娘は怖いものだらけでした。ちなみに10代後半になった娘達は多分人生で一番強い時期で、二人とも怖いものなしです。
Q. 「高いところがこわい、注射がこわい、人前で話すことがこわい、暗い所がこわい」という4匹のかいじゅうを主人公に選んだ決め手は何でしょうか?
まず、自分の一番苦手な事が「人前で話すこと」でして、それは一番描きたかったことです。うちの奥さんが「高い所が怖く」て、「注射」と「暗いところ」は娘達がとても怖がっていたことです。なので家族の苦手なことで、多くの人達に共有していただけそうなこの4つをメインに描きました。
Q. かいじゅうたちが可愛いですし、それぞれ異なる体も印象的です。こんな特別なデザインはどのように思いつきましたか?
かいじゅうのデザインを気に入っていただけてとても嬉しいです。子どもの頃からかいじゅうが大好きで、かいじゅうの絵を沢山描いてきました。何よりかいじゅうのフォルムが好きで、怪獣のフィギュアやソフビ人形を集めています。いつか自分の怪獣がフィギュアになることが夢です。かいじゅうのフォルムのバリエーションの多さについてですが、デザインをするときにシルエットだけでそれぞれのかいじゅうが見分けられるように工夫しています。どなたか是非絵本のかいじゅう達を「公仔」(フィギュア)にしてください。
Q. 新井さんも、子供のとき、恐怖を感じることがありましたか?
僕は子どもの頃何故かUFOがとても怖かったです。いつ夜空にUFOが現れて連れ去られるかと怯えていました。原因は覚えていませんが何か怖い映画でも見たのでしょうか?
今は全然怖くなくて、連れ去られたらさすがに怖いですが、夜空にUFOが飛んでいるのを見たら喜んで見惚れてしまうと思います。子どもの頃は本当にUFOが怖かったので、それを思えば恐怖というのもその時その時で変わっていくものだと思います。
Q. 最後に、恐れや不安を抱く子どもたちへ応援メッセージをお寄せください。
自分も子どもの頃怖いものがたくさんあって、うちの娘達もたくさんありました。でも不思議と大きくなるにつれて怖いものは減ってきます。でも、治らないこともあって、自分は今でも人前に立つのが怖くて、声や手が震えてしまいます。人にはそれぞれ怖いことや苦手なことが1つや2つあるのだと思います。それは個性であって、自分の人生を特徴づけるものだったりもするのです。個性のない人生なんて退屈なものでしょう。そう考えて怖いことや苦手なことも楽しんでしまうのも良いのではないかと思います。ただ怖いことに気持ちが囚われすぎると辛いので、そんな時はゾワゾワちゃんが小さくなる方法を色々と試してみて下さい。