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    【サウナ豆知識】サウナの歴史 〜『いつか行ってみたい 世界の絶景温泉&癒しのサウナ』コラムより

    知らず知らずのうちに、考えることや時間に追われる現代⼈にとって、思考を完全にストップし、解放される瞬間は少ない。いま、銭湯やスパ、サウナブームが巻き起こっているのも、わたしたちが本能的に「精神の解放」や「癒し」を求めているからではないでしょうか?

    『いつか行ってみたい 世界の絶景温泉&癒しのサウナ』では、⼼⾝の「ととのい」を求める現代⼈が思わず唸る、お⾵呂への情熱溢れる驚きの癒し空間を、世界中から紹介。温泉とサウナの歴史や世界のユニークなお風呂文化を特集するコラムの一部を公開します。

     

    北欧の民族が生んだ自然健康法

    サウナは今からおよそ2,000年もの昔、フィンランドのフィン族が太陽の恩恵の少ない北欧の風土の中で、厳しい寒さと労働の疲れを癒すために生活の知恵として生み出した自然健康法です。熱した石を利用して部屋をあたため発汗することを石発汗浴ともいい、2,000年前にはヨーロッパの各地にあったといわれていますが、考古学的にはおよそ1万年前にまで遡るといわれています。

    「Sauna(サウナ)」はフィンランド語ですが、同様に熱や蒸気を利用した熱気浴の文化自体は古くから世界の各地に存在しています。例えば日本では「蒸し風呂」、古代ローマ帝国の「テピダリウム」や「ラコニクム」、オスマン帝国などイスラム教圏の「ハマム」、ロシアの「バーニャ」、メキシコの「テマスカル」、朝鮮半島の「汗蒸幕(ハンジュンマク)」など、様々な文化があります。主な用途としては、癒しや、宗教上の儀式、身体の修業、洗浄やくつろぎ、社交の場などそれぞれ異なります。

    フィンランドやバルト三国では古来、サウナは神聖な場所とされており、人生の節目にサウナに入る習慣がありました。煙と熱で殺菌されているサウナ室は家の中でも最も清潔な場所であったことから、昔はサウナ室の中で出産や手術が行われたり、埋葬前の屍体を洗ったりもしていました。

     

    伝統的なサウナ様式

    サウナの原点と言われているのが、スモークサウナです。ドアを閉めた状態の丸太小屋の中で、煙突のないストーブの上に石を積み上げ、薪をくべ続けながら石が熱せられて赤くなるまでゆっくりと時間をかけて燃やします。薪が燃え尽きた時にはサウナ小屋の中は煙が充満していますが、ドアを開けて最初にするロウリュ(※熱した石に水をかけて蒸気を発生させること)で煙は外へ排出されます。そしてベンチの灰を掃除してようやく入浴準備完了となる、かなり時間と手間のかかるサウナです。2,000年ほど前にフィンランドにて誕生したこのスモークサウナは、その後およそ1,000年の間主要なサウナとして利用されてきましたが、第二次世界大戦後に衰退しました。現在では南エストニアにあるヴォル地方でいまだにその伝統が守られ、2014年にはユネスコの無形文化遺産に登録されました。

    1900年代になると、薪を燃やしながら入ることのできる煙突付きのサウナストーブが登場。さらに、現在主に使われている電気やガスを利用したストーブなどが登場し、より手軽にサウナを利用できるようになりました。

     

    日本で初めてのサウナブーム

    フィンランド発祥のサウナは、北欧各国をはじめヨーロッパやロシアなどに受け継がれ、その後世界中に広まりました。

    日本にもサウナが紹介され、最初に一般に広まったのは1964年に開催された東京オリンピックの時です。フィンランドの選手団が選手村にサウナを持ち込んで利用していたのをマスコミが取材して広めたことで世間から注目を集め、日本に第一次サウナブームが起こりました。

    その頃、日本は高度経済成長期真っ只中。猛烈に働く中高年男性の疲労回復を目的とした、カプセルホテルを併設した男性専用サウナ施設が急増したことから、「サウナはおじさんの行くところ」といったイメージが作られたと考えられます。

    その後、1973年のオイルショックを機に一時的にサウナ施設の数は減少したものの、個人宅やスポーツジムなどでの設置数が増え、新たな層に広まることとなります。

     

    進化し続ける現代の「サウナ」

    2016年頃からは、タナカカツキ氏の『サ道』シリーズ(エッセイ、漫画、TVドラマ)の影響もあり、新たな層にサウナの良さが認知され始めました。第一次ブームの際の「サウナはおじさんの行くところ」という昭和のイメージを塗り替え、男女共に若年層を中心として幅広く広まったことから、日本に第二次サウナブームが巻き起こったのです。

    それとほぼ同時期に、世界的にもサウナブームが起こっており、都市型のスタイリッシュなサウナや移動可能なモバイルサウナ、自然を感じられるネイチャー系サウナなど、様々なスタイルの新しいサウナが作られています。

    サウナには疲労回復などの肉体的効能もありますが、精神面において、身体感覚にフォーカスして内なる自然を感じ、忙しく働く思考から解放されて本来の自分に戻ることができるというメリットもあります。

    古くから続くサウナという文化が今また見直され、再解釈されながら世界中の多くの人に愛されているのは、発展を遂げて日々忙しく過ごす我々現代人が、本能的に求めている大切なエッセンスが含まれているから、とも言えるのではないでしょうか。

     

    文:大智由実子 

    監修:公益社団法人日本サウナ・スパ協会

     

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