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    【サウナ豆知識】サウナから見えてくる世界の文化あれこれ 〜『いつか行ってみたい 世界の絶景温泉&癒しのサウナ』コラムより

    知らず知らずのうちに、考えることや時間に追われる現代⼈にとって、思考を完全にストップし、解放される瞬間は少ない。いま、銭湯やスパ、サウナブームが巻き起こっているのも、わたしたちが本能的に「精神の解放」や「癒し」を求めているからではないでしょうか?

    『いつか行ってみたい 世界の絶景温泉&癒しのサウナ』では、⼼⾝の「ととのい」を求める現代⼈が思わず唸る、お⾵呂への情熱溢れる驚きの癒し空間を、世界中から紹介。温泉とサウナの歴史や世界のユニークなお風呂文化を特集するコラムの一部を公開します。

     

    国によって異なるサウナマナー

    サウナはフィンランドが発祥ですが、「サウナの歴史」でふれたとおり、世界中には古来様々な熱気浴の⽂化がありました。すでにあったその⼟地固有の熱気浴⽂化に、近現代においてフィンランド式サウナの概念が持ち込まれ、その後それぞれ独⾃に解釈され発展していった末が、今ある世界各国のユニークなサウナ⽂化です。

    国が変わればサウナ室の造りやスタイルも異なるし、サウナを利⽤する⽬的が異なればマナーやエチケットも異なります。さらにマナーやエチケットには各国の国⺠性といった性格のようなものが表れます。

     

    わからなくてもきっと大丈夫

    初めて⾏く国のサウナでは、明確なルールが書かれておらず“ 暗黙の了解”としてマナーやエチケットが存在していることが多いので、事前にインターネットなどで情報を収集した上で、そこにいる現地の⼈たちがしていることを⾒様⾒真似でやってみるのが⼀番です。サウナの中ではみんな裸。服だけでなく、地位や肩書きなど、社会における役割をいったん脱いで、リラックスして素の⾃分に戻ります。そこでは国籍や⾔葉の壁も通常より低くなるので、たとえ⾔葉が通じなくても、敬意を持って「私はあなたたちの⽂化に興味があり、知りたいんです」という姿勢で、ジェスチャーを交えながらでもなんとかコミュニケーションを取ろうとすれば、きっと快く迎え⼊れてくれるでしょう。そして、マナーやエチケットを教えてくれるでしょう。裸同⼠でサウナベンチに座れば、同じ環境にいてお互いを尊重し合うことができるのです。

     

     

    ヨーロッパでは男⼥混浴が当たり前?!

    細かなルールは国によって、さらにはサウナ施設によっても異なるので⼀概には⾔えないのですが、海外のサウナを体験する際に⽇本⼈にとって⼤きな壁となるのが、男⼥混浴ではないでしょうか。

    ドイツを始め、ヨーロッパ各地では男⼥混浴、つまりサウナ室の中では男⼥が共に裸にならなければならない、というルールのサウナがあります。その場合、⽔着の着⽤も禁じているところもあるのですが、最近では曜⽇や時間帯によって男⼥を分けたり、⽔着着⽤OK の⽇を設けるなど、男⼥混浴に抵抗のある⼈でもサウナに⼊れるように⼯夫している施設もあります。

    でもせっかくなので、その国のサウナ⽂化を存分に楽しみたいのであれば、やはり「郷に⼊れば郷に従え」で勇気を出して周りに倣ってみるのも、新たな発⾒につながるかもしれません。現地の⼈たちが当たり前のようにやっていることを、最初はドキドキしながらでもやってみると、あら不思議、意外と⼤丈夫かも?となり、気付けば現地の⼈たちと⼀緒にリラックスして、その⼟地でしかできない体験の醍醐味を感じられるでしょう。

     

    思い込みからの解放

    もちろん⽇本でもサウナにおけるマナーやエチケットはあります。「サウナとはこうあるべき」とか「サウナの中でこれをしてはいけない」など規制するためのルールでガチガチになっていると、そのルールが⽣まれた本来の⽬的から外れ、お互いを尊重し思いやる、という部分がおろそかになり、⾃分だけでなく他⼈に対しても厳しくなってしまいがちです。

    海外のサウナに⾏くと、⽇本のルールが全く通⽤せず、それとは別のルールが存在していたりして、⾃分が当たり前だと思っていた概念が崩れることがあります。そんな時、改めてそのルールの⽬的や意味について考えさせられ、これまで有無を⾔わせず「規則だから従わなければならない」と信じていた思い込みから解放されるかもしれません。

    異国の地の知らないサウナで私たちが知らず知らずのうちに⾃分や他⼈を縛り付けてしまっていた思い込みに気付き、その⼟地の⽂化に倣ってやってみることで新たな気づきが⽣まれる。そして、よりおおらかな⼼でサウナに向き合えることがあります。

    また、その⼟地独⾃のサウナ⽂化が⽣まれた背景を調べてみると、その国の歴史や宗教観と関連していることが多くあります。

    例えば、ラトビアでは13世紀の⼗字軍侵⼊にともなうキリスト教布教以前までは多神教で⾃然崇拝が根付いていたことから、今でも伝統的なウィスキングの際には精霊に祈りや歌を捧げ、植物や⾃然の恵みを使⽤し、⾃然に対する深い敬意を払うという、神秘的な儀式のようなことも⾏われています。

    ほかにも、戦争の歴史とも関連があります。今では海や⼭でサウナを楽しめると⼈気のテントサウナですが、これは第⼆次世界⼤戦の際にフィンランドの軍隊が戦地で兵⼠たちの疲れを癒すため、持ち運べるテント式のサウナとして開発されたものと⾔われています。

    このように、サウナ⽂化を知ることはその国の⽂化全体を理解するのに役⽴ちます。また、実際に現地の⼈たちと⼀緒にサウナに⼊ることは、よりいっそうその国の⽂化を⾝体で感じることができる素晴らしい体験となるでしょう。

     

     

    文:大智由実子 

     

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