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    台湾から竹久夢二に魅せられて〜『竹久夢二の世界』発売記念!王文萱さんインタビュー〜

    竹久夢二のルーツと全貌を美しい図版と共にたどる『竹久夢二の世界~美人画からモダンデザインまで~』が、2月22日発売となります。

    本書を手がけるのは竹久夢二に魅了され、長年研究に携わる王文萱(おう・ぶんけん/ワン・ウェンシュエン)さん。王さんの考える竹久夢二の魅力、そして台湾から見た竹久夢二の評価についてお話を聞きました。

    作品から感じられる「自由自在」の雰囲気

    ――竹久夢二との出会いについて教えてください。
    2006年、私は台北の本屋さんで初めて夢二の作品と出会いました。それは、ピエブックスが出版した「夢二デザイン」(2005)という本で、本や楽譜の装丁、雑貨や挿絵などが収録されています。

    ピエ・ブックス(刊)※品切れ中

    オシャレで可愛いデザインに私は一目惚れしましたが、なんと100年前の作品だと知って驚きました。夢二は美人画で有名ですが、グラフィック領域でも魅力的な作品をたくさん残しています。
    そこで、私は著書でも「美人画」「児童向けの作品」「少年少女画」「図案・商業デザイン」「雑誌の表紙と挿絵」「書籍の装丁」「楽譜の装丁」「挿絵・漫画」「人形作品」と九つのジャンルに分けて夢二の作品を紹介しています。

    ――王さんの考える竹久夢二の魅力はどんなところにありますか?
    夢二の一番魅力的なところは、作品から感じられた「自由自在」の雰囲気ではないでしょうか。流派に属せず独学で画家になった夢二は、どのジャンルや技法にも束縛されたことがありません。素朴なタッチもありながら、精錬した色調もあります。作品の中に、西洋と東洋の趣味も自然に混在しています。また、彼は商業向けの作品を創作するときも、ちゃんと読者の目線を配慮しつつ自由な画風を遺憾無く発揮してきたので、ただの一世風靡した大衆画家ではなく、プロの芸術家だなと思っています。
    そのため、夢二の作品を見るたびに、毎回違う面白さが感じられます。「夢二はこんな作品も作ったのか」とびっくりしたこともありましたが、じっくり見ると、どの作品でも「夢二式」という独特な画風が感じ取れるので、「なるほどな」とも思いました。そのことが、夢二の作品が百年後の現在、異なる空間や時間においても、人々に愛され続けている理由でしょう。

    『竹久夢二の世界』より

    古き良き時代を追憶する

    ――本書を台湾で出版された際の反響はいかがでしたか?
    台湾では、夢二の潜在的なファンが少なくありません。日本の芸術文化が好きで、夢二の絵が好きになった人もいますし、日本旅行で夢二に出会った人もいます。ただし、台湾で夢二の作品や本に触れる機会がなかなかないので、本書を出版した際には「ありがとう、夢二の作品や人生がよくわかった」と言ってくれた人がたくさんいます。それは、私にとって一番感激したことです。
    また、台湾台北の「北投文物館」と台北の古本屋「旧香居」も合わせてくれて夢二展を開きました。「旧香居」の展は台湾コレクターが集めた夢二の作品で、量も多く質も高いので、見どころがたくさんありました。「北投文物館」は日本から夢二の作品や写真、そして同時代の家具や文物品をたくさん借りて、百年建築の中で大正時代の雰囲気を作り出しました。展示期間は半年間もあって、来場者が五万人以上で開館以来人数が一番多い展覧会だったそうです。その後、「展覧会に行ったよ」と言ってくれた人も何回も出会ったので、その影響力の大きさが考えられるでしょう。これから夢二もますます台湾で注目されると思います。

    台湾「旧香居」での展覧会(『竹久夢二の世界』より)

     

    ――台湾での竹久夢二の評価はどのように感じますか?
    台湾は五十年間(1895-1945)も日本の植民地でした。台湾が日本から芸術文化など、大きな影響を受けた時期は、夢二が活躍した時代とほぼ一致しています。近年、国民全体で過去の歴史への関心が高まってきたので、日本統治時代の歴史は様々な形で一般の人々の目に触れるようになりました。 
    その中に、日本統治時代の建築の修復や再利用が最も見られます。昔の建築を大正昭和風の博物館やお店、カフェ、レストランなどに改装するのも一つのブームになっています。ですので、大正時代という言葉は台湾人にとって、少し憧れの存在にもなっています。大正時代を言ったら欠かせない「竹久夢二」も、台湾人が古き良き時代を追憶するときの対象になっています。

    『竹久夢二の世界』より

    夢二を通して台湾を知る

    ――本書のおすすめのポイントや、王さんが気に入っているページなど教えていただけますか?
    この本は、最初台湾向けに制作したので、日本の歴史や芸術を知らなくても、気楽に読めることを目標として書きました。ですので、専門用語を殆ど使っていません。また、なるべく客観的に夢二の人生を紹介したいとしていますが、内容の面白さを増やすため、夢二の人生の中に欠かせないロマンスも工夫して入れました。ぜひ小説を読む感覚で夢二の人生を読んでください。
    そして、夢二の広い芸術世界を表現するため、大量の図版を掲載しています。よく見かける美人画や雑誌の表紙から、普段なかなか見る機会がない、気付かれない扉や巻頭カラーページまでもたくさん収録しています。ぜひ図版を通して夢二の世界を楽しんでください。綺麗な本だなと思っていただければ嬉しいです。

    『竹久夢二の世界』より

    ――最後に日本の読者へメッセージをお願いいたします

    今回日本で出版する機会を得て、大変光栄に存じます。本書の中には、夢二と台湾との関わりについて少し紹介していますので、それを読んで台湾のことを少しでも理解していただけたら嬉しいです。また、夢二は1933年に台湾を訪問し、講演と個展も開いたのですが、台湾で販売した作品の売り上げも、出展した作品も日本に持ち帰っていないので、行方不明になった作品はいまだに謎のままです。そのため、皆様もぜひ台湾に遊びに来てください。
    もしかしたら、台湾で夢二の作品を見つける可能性もあるかもしれないですよ。

     


    今年は、1884年に生まれた竹久夢二の生誕140周年にあたる年です。記念の年に、ぜひ『竹久夢二の世界~美人画からモダンデザインまで~』をお手に取ってご覧ください。

     

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