PIE International

    Welcome to PIE International website! Please select
    your country or region.

    We hope you will enjoy our Pretty,
    Impressive and Entertaining (=PIE) Books!

    ニュース

    自分の心の中を見せてくれる「かんじょうのかいじゅう」たち〜新井洋行さんインタビュー〜

    こころで感じる、喜び・怒り・悲しみ・楽しみについて考える絵本『こころをなくしたかいじゅう』を5月24日に発売いたします。誰もが持つ心というものを、主人公のかいじゅう・オルーガの視点から読み解きます。本作が生まれた背景や、込められた想いについて、作者の新井洋行さんにお話を伺いました。

    ◎プロフィール


    新井洋行
    絵本作家。デザイナー。東京造形大学デザイン科卒業。2人の娘と遊ぶ中でヒントを得て作った、あけて・あけてえほんシリーズ『れいぞうこ』他で人気を博す。同シリーズは、海外でも出版され、国内外の子どもたちに愛されている。絵本の作品に、『れいぞうこ』『といれ』『はこ』(偕成社)、『いろいろ ばあ』(えほんの杜)、『おやすみなさい』(童心社)、『ちゅうちゅうたこかいな』(講談社)、『しろとくろ』(岩崎書店)、『いっせーの ばあ』(KADOKAWA)、『おばけとホットケーキ』(くもん出版)、『つんっ!』(ほるぷ出版)、『かいじゅうポポリはこうやっていかりをのりきった』弊社刊、他多数。挿絵の仕事に、「モーキー・ジョー」シリーズ(フレーベル館)、「パーシー・ジャクソン」シリーズ(ほるぷ出版)などがある。性格は温厚(ゲームの時はちょっと怒る)。東京造形大学非常勤教員。朝日小学生新聞にて4コママンガ『かいじゅうカルテット』を連載。

     

    オルーガのように心を失った瞬間

    ――新井さんには弊社から『かいじゅうたちは こうやってピンチをのりきった』や『かいじゅうポポリは こうやっていかりをのりきった』といった「かいじゅうとドクターと取り組む」シリーズを手がけていただいていますが、今回もかいじゅうが主人公ですね。
    新刊の『こころをなくしたかいじゅう』が生まれたきっかけについて教えていただけますか?

    はじめに『かいじゅうずかん』という、かいじゅうがたくさん出てくるイラスト集的な本を描きたいと思い描き始めたのですが、描き進めるうちに「イラスト集よりはかいじゅうがたくさん出てくるストーリーのある絵本にした方が良いのではないか?」ということになり、この絵本が生まれました。

    「かいじゅうとドクターと取り組む」シリーズ

    ――親友とのある出来事がきっかけで主人公のオルーガは心をなくしてしまった……というエピソードにせつなくなりました。「この後オルーガはどうなるのかな?心を取り戻せるのかな?」とドキドキしながら読み進めましたが、新井さんはどのようなことを考えながらオルーガを描かれましたか?

    僕が子どもの頃に、やはり友達と喧嘩してそれ以来不仲になってしまったことがありました。喧嘩した後にずっと後悔をしたのですが、結局仲直りできませんでした。
    また、僕は子どもの頃10歳くらいまで親と離れて暮らしていたのですが、幼い時に親がいないのはとても辛くて「どうして自分だけ親といられないのだろう?」といつも悲しい思いをしていました、そんなある日「こんなに悲しくて辛いのはもう嫌だから、悲しむのをやめてしまおう」と思いついたのです。オルーガのように心を失った瞬間でした。そんな2つの経験をもとにこの絵本を描きました。

    感情を意識して味わう絵本

    ――オルーガは新井さん自身でもあるのですね。心をなくしたオルーガは「ケラケラむら」や「イライラむら」など様々な村を訪問しますが、村にはユニークなかいじゅうたちがたくさんいます。かいじゅうたちの性格やキャラクターはどのように作られたのでしょうか?

    もともと「かいじゅうずかん」だったこともあって、たくさんのかいじゅうを登場させるのを楽しんで描きました。この絵本は「かんじょうずかん」でもあるので思いつく限りのいろいろな感情とそのシチュエーションを書き出して、その中から共感していただけそうなものをピックアップして登場させています。感情というものは常に心の中にあって非常に身近で、だからこそあえて意識をして味わうことがないような気がします。この絵本で身近な感情を描くことによって、それらを改めて味わって楽しんでいただけたら良いなと思って「かんじょうのかいじゅう」達を描いています。

    『こころをなくしたかいじゅう』ラフより

    ――「かんじょうのかいじゅう」のユニークな姿形のほかに、かいじゅうたちのいる村に合わせて変化する色も印象的です。色はどのように決めて着彩されたのでしょうか?

    色は僕の感覚で決めました。ケラケラむらは明るい色、イライラむらは燃えるように熱い色などです。
    各村の色数を絞ることで、一つの感情に属していることを強く表現できるのではないかと思いましたし、一人だけ色味が違うオルーガが紛れ込むことで、こころをなくしたかいじゅうオルーガを強調できるのではないかと思っています。
    ただ、オルーガはもともと泣き虫なかいじゅうなので、エーンエーンむらに近い色をしているのかもしれません。

    心があるからできること

    ――ちなみに絵本にたくさん登場するかいじゅうの中で、新井さんに似ているかいじゅうはいますか?

    一人で旅をするような感覚でいつも楽しく生きているので、ケラケラむらにいるスプルに似ているかもしれません。スプルと、ポポリと、モーモクロスと、オルーガは連載している4コマ漫画の主人公たち*で、いつも描いているので我が子のように可愛いです。
    でも、この絵本に出てくるかいじゅうたちはみんな僕の一部から生まれているような気がしますし、見返しのかいじゅう達も含めてみんな大好きです。
    *2023年8月より朝日小学生新聞にて「かいじゅうカルテット」を連載中

    『こころをなくしたかいじゅう』より

    ――おっしゃる通り見返しには、たくさんのかいじゅう達が描かれていますが、もう一つの見返しには「きみはなににおどろく?」や「きみはなにがきらい?」や「きみはなににまんぞくする?」など、たくさんの質問が書かれていますね。なぜこうした仕掛けを作られたのでしょうか? また、どのように楽しんでもらいたいですか?

    『こころをなくしたかいじゅう』より

    自分がいて、自分の周りに世界が広がっていて、いろいろな出来事があって、楽しかったり、悲しかったりするじゃないですか?それって、自分が世界や出来事をどう感じるかによってその良し悪しが決まるわけで、自分にとって一番大事なのは、世界や出来事じゃなくて、自分のこころなのではないかなと思っています。
    何をどう感じるかというのは自分自身であって、自分の世界でもある。それを改めて客観的に見つめられたら良いなと思って、この見返しを作りました。この見返しに答えていただいて自分自身を知り、自分にとっての世界を変えられるかもしれないということを楽しんでいただきたいです。

    ーー最後に読者へのメッセージをお願いいたします

    喜んだり、怒ったり、悲しんだり、こころや感情に振り回されることも多いかと思いますが、こころがあるから世界を味わう事ができて、こころがあるから人とつながり合える。自分にしかない自分のこころを楽しんで行きましょう。

    シェアする

    このサイトは、サイトを改善するためにCookieを利用しています。
    お使いのブラウザにてのクッキーの有効/無効を設定いただけます。
    サイトを利用することで、Cookieの使用に同意するものとします。
    プライバシーポリシー

    OK