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    『アタマとカラダでわかるデザイン』の話を杉崎先生にきいてみよう|その2|図形と比率

    『アタマとカラダでわかるデザイン』の話を杉崎先生にきいてみよう|その2|図形と比率

    PIE松村(以下PIE):いよいよ書籍『アタマとカラダでわかるデザイン』が書店に並びはじめましたね!

    杉崎真之助(以下杉崎):ぜひ率直なご感想などをお聞かせください。ちょっと意外でしたが「横で小学生の子供が読みたがっている」というメッセージをもらったり、ベテランのデザイナーから「デザインの本質がわかりやすく整理されている」といった声をいただいています。一見、入門書のような顔つきの本ですが、いろいろな読者の方に手にとってもらえたら、うれしいです。

    PIE:今回は「図形の発見。」という項目から見ていきましょう。

    本文P.28より:何千年も前、木につながれた家畜がヒモの届く範囲の草をすべて食べつくし、そこに現れた形から人は円を発見したかもしれません。

    PIE:人間が円を発明したわけではなく、自然の中から見い出していった事柄は多そうですね。

    杉崎:おっしゃるように発明ではなく、発見ですね。コンパスは道具として発明されたといえます。でも中心と円周で描くという原理は、木と家畜の話と同じです。
    人は古代、石の壁などに線を刻みながら、丸や四角や三角などの純粋なカタチを見つけてきました。一方で、動物や植物、月や太陽など、自然の中からも文様としてカタチを抽出していきました。そして、図形や記号の概念が生まれていく……グラフィックデザインの原点といってもいいですね。

     

    本文P.43より:「同心円」は、中心を共有し回転する、中心との距離が違う複数の点の軌跡です。水の波紋のように、中心からの広がりを表現することができます。

    PIE:凝視していると目が回ってしまいます。この現象もまさに身体感覚ですね……。

    杉崎:もともと私たちは、カタチの中から規則性のあるパターンを見つけようとします。そのせいで過剰に規則的な図形を見続けると、脳は逆に混乱してしまいます。
    目を通じて、私たちの脳がカタチを見ている、つまりカタチとして解釈しているのが、ここからもわかりますね。

    PIE:本文では正方形や正三角形などを円と同じ中心で重ねた例を示していただきましたが、わけもなく惹かれてしまいます。規則性があるからなのでしょうか?

    杉崎:パターンが適度に複雑になっていくと、単純な規則性がぼんやりしてきます。そうすると今度は、脳が自分で規則性を見つけ出せる余地が生まれてくる。だから魅力的に見えるのかもしれません。

    PIE:規則性を感じ、規則性を見い出すために本能的に「見よう」としてしまうんですね。

     

    PIE:今度はふたつの同心円を少しずらすと「モアレ」が起こることがあります。「モアレ」は印刷の用語で耳にしますが、こんなシンプルな図形の重なりでも起こるんですね。これは凝視せずとも一瞬で目が回ってきます〜〜〜。

    杉崎:単純なパターンほど、モアレは際だちます。錯視やイリュージョンといわれる現象のひとつです。目がクラクラするのは、微妙な違いを見つけようとする脳ですから、重なっているのか、いないのか、線と線の境界を一生懸命に見つけようとしているのでしょう。
    自然の中で生きるためにそなわった身体感覚を逆手にとる手法なので、デザインのスパイスとして、ただし使いすぎには注意しましょう(笑)

    PIE:円だけでずいぶん多くのことが学べました。次は比率のことを教えてください!

     

    PIE:これは「ミロのヴィーナス」と「スカイツリー」のシルエットでしょうか。それぞれに数値が記されています。

    杉崎:ヴィーナスが黄金比、スカイツリーが白銀比で、数値は実用的な近似値です。円周率の近似値3.14などと同じく小数点がつづく無理数です。
    黄金比は数字の整合性と同時に、その概念自体が美しい比率として説得力があるのかもしれません。たとえばテレビの画面は16:9ですが、黄金比に近い比率として採用されています。
    白銀比は大和比ともよばれるように、日本の伝統建築の寸法として、大工さんのL字型の差金といわれる定規にも斜めの寸法(√2)として使われていました。

    PIE:日本でも古くから活用されていたのですね。私も自分の感覚だけに頼らないようにしないと…。

     

    PIE:何やら間取り図のような図ですが、すべて正方形でできていますね!これが黄金比や白銀比の正体ですか!?青銅比なんていうのもあるとは……。

    杉崎:正体ともいえますし、自然の原理を図形で再解釈したと考えてもいいでしょう。この本には対角線を使う作図や数式も載っています。正方形1個を無限に展開していくのが黄金比。正方形2つで展開するのが白銀比。3つが青銅比とよばれています。

    PIE:これらはすぐにでも自分のデザインに応用できそうです。こうして原理を知ってからデザインに落とし込むことができると、説得力のあるデザインになりそうです。

    杉崎:そうですね。カタチの理屈がわかると、感覚や直感でデザインしながら、同時に論理的にすすめることができるようになります。気がつくと、アタマとカラダの両方でデザインしているはずです。まずは知っておき、興味があれば試してみましょう。

    PIE:今回もまたステップアップできました。次回もよろしくお願いします!

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