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    【第4回】子ども部屋をDIYでリノベーションする

    【第4回】子ども部屋をDIYでリノベーションする

    和室を無理なく洋室に変えたい

    リノベーション工事期間の最初の2週間を使って、大工の忍田孝二さんが床を貼り、壁の設置もして、DIYの下地を作っておいてくれた娘の部屋。

    ここは広さ6畳、壁は砂壁、床は畳、建具は襖と障子という典型的な和室だった。それをどう変えるかという話で、つみき設計施工社さんにわたしから伝えた希望は「昭和のアメリカンハウスみたいな、木部をすべてミルキーホワイトにペイントしたレトロな洋室」。もちろん言葉の説明だけでは思い描くイメージを伝えきれないので、連載第2回で書いたようにPinterestで画像を集め、頭のなかにある理想の空間像を伝えた。

    わが家はもともと、この家を建てた前の住人のこだわりが見られる縁側以外は、ごくありふれたつくりの和風住宅だ。それを、モダンさが感じられる和洋折衷の空間に変えたいというテーマは、9年前の1階のリノベーションでも、今回の2階のリノベーションでも共通している。

    この家で和洋折衷を目指すならば和の比重を多くする方がやりやすいとは感じながらも、6畳の娘の部屋の改装は「畳と砂壁の和室から、真っ白の洋室に変身させる」「ただし建具はなるべく再利用」という、自分で方針を打ち出しながらも簡単ではないだろうと覚悟していたプロジェクトだった。

    しかし結果的に、この部屋のリノベーションはすごくうまくいったと満足している。つみきさんが提案してくれたプランは現実的で無理矢理感のないものだったし、「古い和風の家に自然になじむ洋室」という狙いにもちゃんとおさまった。同時に、これから10代という多感な時期を過ごしていく娘の居場所としてふさわしい部屋になったようにも思う。

     

    • ペイントは人を集めて体験型イベントに

    この部屋のDIY作業は、主にペイント。つみきさんから「ペイントは人手があったほうが早く進むし、楽しいので、お友達はどんどん呼んでください」と言われた。

    しかしゴールデンウィークの真っ最中、服を汚しながらやる作業のために電車や車を使う距離の友人に声をかけるのは気が引けて、ご近所の娘の同級生ファミリー2組に1日ずつ手伝ってもらうことにした。

    つみきさん側もアルバイトさんを動員して連日2、3人体制でサポートしてくれたから、連休の間にペイント作業はみるみる進んだ。ペイントって、ペンキと刷毛があればですぐできちゃう、というものではなく(もちろん物理的にはできるけれど、きちんとやろうと思ったら)、まず最初に汚したくない部分をシートとテープでぴっちり覆う「養生」という準備工程があり、次に「シーラー塗り」という工程もある。これは、木部にペンキを塗ることで表面に浸み出してきやすい、木材内部のヤニやアクを下地材を塗って防ぐ作業。しかもそれを2度塗りして、シーラーが乾いてから、ようやくペンキ塗り(こちらも2度塗り)にとりかかれる。乾き待ちの時間もあるため、この6畳と隣室を交互に塗りながら、丸2日間を要した。

    手伝ってくれた家族は2組とも、ペイントや他のDIY作業の初心者だったけど、つみきさんがワークショップ形式で、最初に刷毛やローラーの使い方をきちんとレクチャーしてくれた。そのおかげで、初めてとは思えないほどみんなきれいに塗ってくれたし、コツがわかれば作業自体は単純だから、途中はずっとおしゃべりしながら手を動かし、子どもたちも仲良く遊びながらお手伝いができて、楽しそうだった。夕方まで作業した後は、そのまま夕飯を食べていってもらうという流れで、友人家族を巻き込んでのペイント作業は楽しく完了した。

    床は、オイルステインという木材に染み込むタイプの着色剤を塗った。ステインの塗り方は前もって洗面所やトイレの床を使ってつみきさんに方法を教わっていたため、工事がお休みの日に家族3人で取りかかったら、あっという間にできた。

    ステインはちょっとめずらしいグレーで、リノベーションしたばかりなのに、年月の経った部屋のような味わいが出たのは、この床の印象が大きいかもしれない。

     

    • 障子を洋風に見せる挑戦

    この部屋のアイデアを練るとき、わたしが最も悩んだのが、廊下との境界にある4枚の雪見障子の処理だ。畳がフローリングになり、砂壁が白くペイントされても、障子4枚がそのままであるかぎり洋室にはならない。

    今ある障子を再利用する前提で部屋を洋風にするには……と、Pinterestで画像検索をするうちに、「障子も白く塗る」「和紙は使わない」という柱が固まった。さらに障子は4枚から2枚に減らし、両側は壁にすることにした。部屋に差し込む光は半分になるけれど、もともと朝はまぶしすぎるほどだったし、昼間は使わない部屋だから、問題はないだろう。

    障子は下半分にはめこまれた磨りガラスはそのままに、上半分は和紙をはがして、代わりにポリカーボネートというプラスチック板を貼った。レトロなガラスのような印象もありながら、障子の枠にはめられるほど薄くて軽く、おまけにローコストなのもうれしい。

    障子を格子部分の各面まで、もれなく白く塗るのは細かくて骨の折れる作業だったけれど、そのぶん変化の度合いも大きく、部屋全体で見たときのリノベーションの完成度も上がったと思う。

    障子の話でもう一つ喜んでいるのが、この6畳と、隣室との間に新しくできた壁に小窓を設置したこと。以前、2部屋を仕切る襖の上の欄間に使われていた障子を再利用して、娘の部屋側に1枚、隣室側に1枚取り付けた。各部屋のトーンに合わせて、娘の部屋側は白く塗ってポリカーボネートを貼り、隣室側は木部を濃茶に塗って和紙を貼ってある。

    ずっと襖を開けて続きで使っていた2部屋を、リノベーションによって壁で仕切るのは少し勇気のいる決断だったけれど、この小窓があることで両者が完全に分断されることなく、さりげなくつながり合う感じになった。

    次回は、隣室であるわたしたち夫婦の寝室のDIYレポート。この白い部屋とはまったく違う、大人っぽい空間に生まれ変わったので、その変貌ぶりをどうぞお楽しみに。(つづく)

     

    小川奈緒プロフィール

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