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    『アタマとカラダでわかるデザイン』の話を杉崎先生にきいてみよう|その5|トークイベント番外編

    『アタマとカラダでわかるデザイン』の話を杉崎先生にきいてみよう|その5|トークイベント番外編

    PIE松村(以下PIE):今回は2019年7月28日に梅田蔦屋書店で開催したトークイベントを振り返ってみたいと思います。

    杉崎真之助(以下杉崎): 第1部では、まず「そもそも」として、出版にいたるまでのお話。つぎに「本の、なか見」、休憩をはさんで「本の、よそ見」では、会場のみなさんをまきこんで、どんどん話が広がり、脱線ぎりぎりのスリリングな展開となりましたね。多くの方に会場にお越しいただき、いい雰囲気で2時間たっぷり楽しいトークができました。みなさんのおかげです。

    PIE:今回はトークイベントにゲスト出演していただいた株式会社STRiPESの竹広信吾さんにも参加していただきます!

    竹広信吾(以下竹広):こんにちは!株式会社株式会社ストライプスの竹広信吾です。先日のトークイベントではお世話になりありがとうございました。またコチラでも登場させていただき、とっても嬉しいです。よろしくお願いいたします。

    PIE:イベントでも紹介させてもらったお仕事ですが、ときにはオリジナルで書体も作られるんですね。

    竹広:はい。イベントでご紹介いただいたのは「MARUGOTO」という国産無添加素材のみで作られた食品ブランドのお仕事です。商品の主役である国産の不揃いでたくましい野菜や果物のカタチを書体で表現しました。なので、細かったり広かったりと書体のプロポーションを崩しているのですが、ウェイトや細部に一定のルールを設けることで可読性を保つように作字しています。

     

     

    杉崎:こちらは既存の書体を使った例。C、D、Gなど、一部の文字のバランスを変えるだけでもグッとやさしい印象に変わります。シニアの方のための医療施設「MOZART」の空間サインに展開したものです。

    PIE:ブランディングで必要となる書体と、文芸書などの本文組で求められている書体はコンセプトがかなり異なりますし、我々グラフィックデザイナーもどんどんオリジナルの書体を作ってもいい気になってきました!



    PIE:イベント本番では書籍『アタマとカラダでわかるデザイン』からテーマを抜粋し、お二人に思い存分掘り下げていただきました。そんななか、書籍のテーマから外れたトークも印象的でした。

    杉崎:これは普段あまりお見せすることはない写真なんですが(笑)ぜーんぶボクです。デザインは時代を超えた普遍的な原理に基づいています。しかしながら、デザイナーの仕事、作品、そしてルックスは、伝える対象とするその時代の気分を、結果として反映してしまうわけですね。

    竹広:お仕事や作品のみならず、こうしてルックスも追いかけてみるとおもしろいですね!特に70年代の先生はロン毛ですしビックリしました。(笑)音楽もデザインも本気で取り組まれていたことが伺えてカッコいいです!個人的な意見ですが、デザイナーはルックスも大切だと思うのです。ファッションには、色合わせやサイズ感などコーディネートの要素もあります。グラフィックデザインにも同じことが言えますよね。人は見かけによらないと言いますが、不思議と奇抜なファッションのデザイナーは奇抜なデザインをする印象を与えますし、センス良く上手に着こなしていると、デザインもセンスが良いはず!という印象を与えれるのではないかと…。

     

    PIE:タイポグラフィのコーナーではこんな資料も見せていただきましたね。

    杉崎:電話帳のように分厚いでしょ。これはずっと使っている『シカゴマニュアルThe Chicago Manual of Style』というライティングのルールブックです。でも、内容は文法というより、大文字、小文字、スペースの入れ方、ピリオドなど、文字の組み方です。 日本語は文字の「書き方」からはじめます。欧文は「組み方」です。タイポグラフィそのものといってしまってもいいかもしれない。これ、グラフィックデザイナーに必要かと。

    竹広:僕も必要だと思います。文字組は一見目立たず些細なことかもしれませんが、組版ルールを熟知した方の名刺は本当に美しく情報がよく伝わります。目立たないかもしれませんが、実は大きな力を持っていますよね。

    PIE:イベント本番では使われなかったスライドの中に気になるものを見つけました! これは…ひょっとして版下!?

    杉崎:「版下」つまり印刷原稿の一部分です。DTP以前は「写植」といって印画紙に打った文字を切貼して、文字の間隔を調整していたんですね。印刷されて目に触れるのは文字だけ。でもね、「版下」作業の痕跡を意識していたこと、それこそがグラフィックデザイナーのチカラの元だと思うんです。

    竹広:アナログでデザインされていたこの時代は本当にすごい技術と苦労が原稿に滲み出ていますよね。字体や抑揚に合わせて一文字づつカットして手作業でカーニングしていたのですから。今のアプリケーションだとボタン一つでできちゃうので信じられない事実です。 技術が進化して手法は変わりましたが、今も変わらず最後の最後まで一文字づつ字詰めをしたりディティールを追求したり、細部にまで時間を費やすことは変わらないように思います。そうすることで原稿に魂が宿りますし、グラフィックデザイナーにとって一番大切なところだと思ってお仕事に取り組んでいます。終わりがないので大変ですが。(笑)

     

    PIE:最後は書籍にも掲載されているこのメッセージカードについて。これは杉崎先生が学生さんにお渡しになっているとのことですが、自分もかなり感銘を受けました。額に入れて飾っておきたいくらいです。つまり、毎日いろいろなタイプの仕事をしている中で、この3つをすべて満たしたものがどれだけ作れているか、自信がないということです……。

    杉崎:3つをすべて満たすとマジメに考えずに「いいとこ取り」こそ、デザインの醍醐味。これは第4章のデザインとアタマ「発想、分析、定着」に載せているものですが、その前のページとつながっています。 発想をジャンプさせる「芸術」×「科学」は論理的に積み上げる。デザインはこのふたつのいいとこ取り。

    竹広:PIE松村さんと同じくこの心得に僕も感銘を受けましたし、学生さんが羨ましいと思いました。 アーティスト、科学者、シェフと例えられているところも大好きなのですが、何より初心の気持ちに戻してくれる素敵な心得ですよね! アイデアに悩んだときに読み返せるように、僕も額に入れて飾っておきたいくらいです。

    PIE:イベントはたくさんの参加者にも恵まれ無事に終わりました。我々出版社としましても東京ではなく大阪でイベントが開催できたことをうれしく思っております。これっきりで終わることなく、日本全国いろんなところでイベントができると良いですね。

    竹広:この度は素敵なイベントに参加させていただきありがとうございました。最初から最後まで本当に楽しかったです! 僕がデザインを始めた20代。理屈も何もわからないまま「とりあえずやりなさい!」と、筋トレのようにデザインを毎日カラダで覚えていました。本書はその筋トレのように覚えていたことが、ビジュアルエッセイとして言語化されています。これからデザインを始める方には、教科書的に解釈ができますし、デザインを伝えたり、教えたりする方には参考書的な使い方もでき、気づきも多いと思います。また、デザイナー仲間やこれからデザインを始められる方と一緒に読み解いていくのもおもしろいかもしれませんね。

    杉崎:本を執筆しているときには想像していなかったのですが、出版がイベントにつながったりすることで、竹広さんたちや、もっと若い方たちとのネットワーク作りのきっかけになっていくとうれしいですね。
    「おわりに」に「この本は教科書ではない」と書いているんですが、デザインの「なぜ?」がさらなるデザインの興味につながっていくという意味で、自由に使える余白のある教科書として、使いたいという声も先生からでてきました。

    会場の梅田 蔦屋書店4thラウンジ

     

    イベント打ち上げにて

     

    PIE:最終回のような流れになりましたが、WEB連載はまだ続きます!竹広さん、ありがとうございました!

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