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    #今月の本屋さん くまざわ書店 グランデュオ蒲田店(東京都大田区)

    #今月の本屋さん くまざわ書店 グランデュオ蒲田店(東京都大田区)

    大田区の蒲田駅はJR東日本と東急電鉄の駅です。JR東京駅から京浜東北線で20分ほどで着きます。駅のホームに降りると「蒲田行進曲」のテーマ曲が聞こえてきました。駅の東口と西口の両方にくまざわ書店さんがあります。今回は東口のくまざわ書店 グランデュオ蒲田店を中心にご紹介します。

    東口のエスカレーターを6Fまで上がるともうそこは店内でした。右手には新刊や話題の棚が見えます。

    「ロシア、ウクライナ侵攻」の新聞記事と共に、『戦争は女の顔をしていない』文庫版とコミック版や、『現代ロシアの軍事戦略』『物語 ウクライナの歴史』といった新書がまず目に入りました。

    その隣にはエルンスト・H・ゴンブリッチ氏の『美術の物語』と並んで『楽園のカンヴァス』など原田マハさんの文庫が。今年に入って原田マハさんがNHKのあさイチに出演した回があったのですが、そこで紹介された本です。『美術の物語』は700ページ近い大著ですが、放送により一時品薄になっていたようで、私もやっと手にできました。ゴンブリッチ氏は10代の読者を念頭に書いたそうで、原田さんの言葉通り「アートはきみの友だちなんだよ」と感じられる、優しさと教養と洞察に満ちた本です。
    そしてその横には『大友克洋全集』が。まさに新刊・話題棚です。ワクワクしてきました。

    その奥には新聞書評の棚。さきほどの新刊・話題棚といい、この本屋さんにくれば時代をつかめることがわかります。

    通路の反対側にも新刊・話題書棚が。取材に伺ったときは本屋大賞発表直後でしたので、大賞作品『同志少女よ、敵を撃て』が大きく面陳されています。なんとサイン本まで陳列されていました(2022年4月9日時点)。まだ読んでいない方は、ぜひ読んで欲しいです。そして著者の逢坂冬馬さんによる授賞式でのスピーチもぜひ聞いてください。ウクライナ情勢など、否応なしに作品を取り巻く時代の波が押し寄せる中で、それら全てを呑み込む覚悟を持った作家による、歴史に残るスピーチだと思います(下記YouTubeで33:38ごろから聞くことができます)。
    https://youtu.be/LkWl3Xwqwfs?t=2018

    そしてその隣には、これ!「飯田賞」の棚です。本には飯田賞のオビが巻かれています。
    飯田賞は店長の飯田正人さんが「半年間で最も激烈によかった小説を選んで、芥川賞・直木賞と同じ日に表彰する」賞です。第3回飯田賞は津村記久子さんの短編集『現代生活独習ノート』でした。私も読みましたが、ものすごく心に沁み入る短編集です。コロナ前は、出会いという小さな偶然の積み重ねが心の豊かさを生んでくれていたんだなあと思い出しました。左上に津村さん直筆の色紙も見えますね。

    本の横にはフリーペーパーがあり「第3回飯田賞発表記念語りおろし!スペシャル2500字くらいインタビュー」(語り手:店長 飯田 聞き手:店長 飯田)とあります。なんとこのフリペ、7刷だとか。
    また、飯田賞授賞式が下記YouTube上でご覧いただけます。津村さんご自身も出演されていて、オビのとおり「あはははは」と笑ってしまう、愉快な授賞式です。
    https://youtu.be/JAMGPBrc3GQ

    飯田店長、芸術書の棚の前にいらっしゃいました。飯田賞のきっかけや、お店の棚づくりのことを伺いました。

    飯田賞を始めたきっかけは、中公文庫のオビに飯田さんのコメントが掲載になったことでした。

    こちらの柚木裕子さんの『盤上の向日葵(下)』のオビに「しばらく立てないくらい素晴らしかった」というコメントがあり、なんと羽生善治九段のコメントと並んでいます。この本でフェアを実施したところ、よく売れた。もともと、売れる商材を作りたいと考えていた中で、こうした「店長のおススメ」は地域の書店の、ローカルな商材として売上に貢献できると実感。全国ではすでに新井賞、ほんま大賞、山中賞といった様々な書店員さんによる賞があったことも、飯田賞を始めるきっかけとなりました。
    飯田賞がきっかけで重版につながることもあるそうで、地元のお客様にとってだけでなく、出版社にとっても大変うれしい取り組みです。

    棚づくりについては「新刊を売る、にコミットする」ことがお店の役割と考えている、とのこと。入社以来、「売る」感度を高めるために書評で勉強することを心がけ、新刊でまだ知られていないもの、書評で掲載されそうなものを面陳しているそうです。写真にある歴史、思想、理工といった棚にも強烈に時代性を感じます。時代性をとらえる点が、飯田賞にも共通しているように思います。

    一見して手に取りたい!と思うような本ばかり。類似の書籍を並べて見せることで、それぞれの本が引き立てあって存在感が増しているように思います。新刊情報はどのように入手しているか伺ったところ、書評はもちろん、1冊でもお店に届けば全てに目を通し、気になったものは面陳のために追加発注をしているとのこと。

    こうした毎日の創意工夫の結果が、いつも「新しい何かに出会えるんじゃないか」と思わせてくれる、ワクワクするような本屋さんを作り上げているのですね。

    実は飯田店長、取材をしたこの日が店長としてお店に立つ最後の日でした(現在はくまざわ書店の本部へ異動)。飯田賞はこれからもなんらかの形で続けるそうで、これからも楽しみです。飯田さん、最終日のお忙しいところ、お話をお聞かせいただきありがとうございました!

    くまざわ書店グランデュオ蒲田店 Twitter:

    https://twitter.com/kumazawa_kamata

     

    ~~以下、追加情報 くまざわ書店京急蒲田店~~

    今回は東口のお店を紹介しましたが、同じ蒲田駅の西口にある、くまざわ書店京急蒲田店についても少し紹介したいと思います。こちらはグランデュオ蒲田店よりもさらに規模が大きく、幅広い品ぞろえが特徴ですが、PIEとして特にご紹介したいのは芸術棚です。

    各社の売れ筋が面陳され、定番商品が棚差しに、新刊が積みになっており、読者にとってわかりやすく、充実した芸術棚となっています。実はこの棚、芸術書の各出版社と相談しながら、芸術棚はどうあるべきかを研究し、くまざわ書店さんとPIEで勉強会を行なって作り上げた棚となっています。

    日々新しい本が生まれ、棚の本は入れ替わっていきますから、正解は永遠に得られませんが、読者が楽しく利用しやすい棚を作ろうという気持ちのこもった棚です。

    グランデュオ蒲田店、京急蒲田店共に、書店員の皆さんの工夫がつまった本屋さんです。蒲田にお越しの際には、ぜひ両方、伺ってみてください。

    くまざわ書店京急蒲田店 Twitter:

    https://twitter.com/kbckeikyukamata

    (文・写真:PIE 三芳寛要 撮影日:2022/4/9)

     

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    https://pie.co.jp/series/4860930/

     

     

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