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    #今月の本屋さん PASSAGE by ALL REVIEWS(東京・神保町)

    #今月の本屋さん PASSAGE by ALL REVIEWS(東京・神保町)

     

    仏文学者・鹿島茂さんがプロデュースする本屋さんが今年の3月、神保町に誕生しました。その名もPASSAGE(パサージュ)。パサージュとは、パリのアーケード街のこと。そして選書するのは本屋さんではなく、書評家や出版社など、本を愛する方々です。

    PASSAGEは本の街、神保町の「神田すずらん通り」沿い、小学館ギャラリーの隣にあります。この通りは三省堂書店神保町本店(一時閉店中)や東京堂書店といった新刊書店のほか、画材店の文房堂神田本店や数々の専門古書店がある、魅惑のストリートです。

    入口の看板に「1棚1棚に店主がいる共同書店です。今までにない一期一会の本との出会い ごゆっくりお楽しみください」とあります。

    入店するとアーチ状の天井にシャンデリアがつるされ、通りの両側に一つ一つのお店のように本棚が並んでいます。まさにパサージュです。

    入口すぐのところに「バルザック通り7番地 鹿島茂の本棚」がありました。それぞれの本棚にフランスの作家名の住所がつけられています。「この棚 すべて鹿島茂サイン本」とあり、鹿島さん著作の『神田神保町書肆街考―世界遺産的“本の街”の誕生から現在まで』(筑摩書房刊)が面になっています。この本は神保町の歴史を江戸時代から丹念に調査し、大学と古書店街との関わりや、書店や出版社の興隆など、世界に類を見ないこの街がいかにして成立したのか、愛を持って書かれた名著です。装幀は工藤強勝さんと勝田亜加里さんで、講談社出版文化賞のブックデザイン賞を受賞しています。

    店内には自著だけでなく、鹿島さんの蔵書の棚も複数あり、これも購入できてしまいます。『金子光春全集』が見えます。

    ヴィクトル・ユゴー大通り8番地は、書評家・豊崎由美さんの本棚。

    井上ひさしさんの本棚と、俵万智さんの本棚。なぜ作家さんの本棚があるのでしょうか? しかも井上ひさしさんは故人です。実はお二人とも、ここでは書評家として参加しているのです。

    この背景には、本屋PASSAGEを作る上でその核となった、書評アーカイブサイト「ALL REVIEWS」があります。ALL REVIEWSは、鹿島茂さんが主宰者として2017年に立ち上げました。上記に挙げた方々を含め、これまで様々な方が多くの書評を世に発表してきていますが、これをアーカイブし、無料で公開しているサイトです。ALL REVIEWSを経由して本を買うと、書評家に対価の還元があり、読者にとっても書評家にとっても益のある画期的な仕組みです。その書評家の方々の本棚がここにあるため、お店の正式名称は「PASSAGE by ALL REVIEWS」となっています。

    書評家以外の方の棚ももちろんたくさんあります。こちらは「どむか」さんの本棚。全国の本屋さんをめぐり歩き紹介するミニコミ誌『本屋さんか』を35年以上も続けるすごい方です。実はこの連載 #今月の本屋さん はその偉業のほんの片鱗を勝手に受け継いで始めました。貴重な『本屋さんか』のバックナンバーや、番外編とも言える『上海ブックショップツアー』『台湾ブックショップツアー』といったなかなか手に入らないZINなどを販売しています。

    校閲書房さんの棚。『カンマの女王』『校正のこころ』や、『本の雑誌』の「笑って許して誤植ザ・ワールド」特集号、『ウェブスター辞書 あるいは英語をめぐる冒険』など、校閲や校正に関する選書が素敵です。

    「双子のライオン堂書店」店主の竹田信弥さんの棚と、以前この連載でもご紹介した「BOOKSHOP TRAVELLER」店主の和氣正幸さんの棚です。書店員さんが別の書店の棚を作る、というのも面白いですね。

    国書刊行会さんの棚と、玄光社さんの棚。出版社も棚を出すことができるんですね。ここは神保町の一等地なので、出版社のブランディングになりそう。

    突如表れた段ボール。こ、このDVDはいったい・・・!?

    つげ義春さん原作の『ゲンセンカン主人』と、ドグラ・マグラ(原作・夢野久作)・・・って、実写化されてたの?!

    「幻の映画復刻レーベル DIGレーベル」幻のままでは終わらせない!初ソフト化!!

    という看板が出ています。すごいレーベルだなあ。

    カメラを向けると反射的にピースサインしてくださる、DIGレーベルの素敵なお二人。一日店長を務めていました。本棚を出店している方は、こうして店頭に立つこともできるようです。

    レーベル名のDIG(掘り起こす)は、DVD化されていない映画を掘り起こすことを意味しているそうです。これらのDVDを置いてくださる本屋さんを探しているとのことで、ご興味のある本屋さんはぜひ連絡を→http://dig-mov.net/

    どうしても欲しくて『ゲンセンカン主人』(監督・石井輝男)と『全身小説家』(監督・原一男)を購入してしまいました。

    そしてこちらがPASSAGEの店主、由井緑郎さん。ALL REVIEWSの代表でもあり、サイトの立ち上げから運営もご担当されています。由井さんに伺ったところ、本棚はどなたでも出店することができます(月額料金はかかります)。審査なし、公序良俗に反しなければ、あとは自由に選書できるそうです。

    「ゆくゆくはワインでも同様のことをしてみたい」と由井さん。確かに色々な方がお気に入りのワインを紹介するワインセラーというのも面白いですね。東京以外でも出店予定はありますか?と聞いたところ、「もし出すとすれば京都」とのこと。京都の名士たちが選書した本棚なんてあったら、ぜひ見てみたいです。いや、東京や京都だけでなく、各地にこうした本屋さんがあったら絶対行きます。

    お店を出ると、「なら、自分で本屋になっちゃえばいいじゃん!」のチラシが。出店料は月額5,500円から。みなさんも出店できますよ。う~ん、PIEも出店しようかなあ・・・?

     

    PASSAGE(パサージュ)HP:https://passage.allreviews.jp/

    書評サイト「ALL REVIEWS」:https://allreviews.jp/

    (文・写真:PIE 三芳寛要 撮影日:2022/5/14)

     

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    https://pie.co.jp/series/4860930/

     

     

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