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    #今月の本屋さん HiBARI BOOKS & COFFEE ひばりブックス(静岡県静岡市)

    #今月の本屋さん HiBARI BOOKS & COFFEE ひばりブックス(静岡県静岡市)

    前回に引き続き、今回も静岡県の本屋さんを紹介します。「HiBARI BOOKS & COFFEE ひばりブックス」さんです。東京駅から新幹線ひかり号に乗って1時間の静岡駅から、バスを使って10分ほど。「HiBARI BOOKS & COFFEE」と書かれた軒先テントが目印です。おしゃれな藍色の窓枠に、木製の本棚が見えました。本棚にはCasa BRUTUSやPOPEYE、暮らしの手帖などの雑誌が面陳されています。高野秀行さんの『イラク水滸伝』刊行記念トークイベントの告知ポスターを見てテンションが上がりました。

    お店に入ると奥行があり、配管がむき出しの天井も高さがあって気持ちがいいです。

    入口すぐの平台には、高野秀行さんの本のほか、随筆集『古本屋 タンポポのあけくれ』(片岡千歳著)、詩・エッセイ・評論をまとめた『ことばの途上』(岩瀬崇著)など装丁の美しい本や、漫画『音盤紀行』(毛塚了一郎)などが積んであります。いずれも読んだことはありませんが、この平台を見ただけでも、何かに出会えそうな本屋さんであることがわかり、ワクワクします。

    平台近くの絵本の棚。シルヴァスタインの『おおきな木』の横に、『ちいさな木』という絵本がありました。素敵な並びです。『ちいさな木は』知らない作品だったのですが、なんと角野栄子さんと佐竹美保さんの「魔女の宅急便」コンビで制作された新作なのですね。

    通路中央には充実の文庫棚があります。


    講談社文庫の棚。『掃除婦のための手引き書』(ルシア・ベルリン著)、『すべて真夜中の恋人たち』(川上未映子著)など話題作が多いですね。

    河出文庫の棚。池澤夏樹さん訳の『古事記』や、いとうせいこう『想像ラジオ』、絲山秋子さんの作品など。個人的に読んでいる文芸書が多くてうれしい。


    ちくま文庫の棚。『考現学入門』(今和次郎)、『圏外編集者』(都築響一)、『本屋、はじめました』(辻山良雄)など、好奇心をくすぐってくれる文庫棚です。


    人文書も大変充実しています。こちらはジェンダーの棚です。話題作のガブリアル・ブレア『射精責任』(太田出版刊)が見えます。


    ハイデガー『存在と時間』、レヴィ・ストロース『野生の思考』、岸政彦さんの『東京の生活史』『沖縄の生活史』、折口信夫さんや柳田國男さん、アイヌ民話集や修験道と、哲学・社会学・民俗学と、めくるめく人文の世界が広がっています。

    翻訳文学の棚。新潮クレスト・ブックスがずらり。時々面陳もされていて、装丁の美しさが活きていますね。


    芸術やデザインの棚。『色の秘めたる歴史』や『フィリップ・ワイズベッカー作品集』など、PIEの本もあります。面陳するだけでなく、本の高さを合わせて配置していることも、美しい本棚である理由なのですね。


    ZINEも扱っています。出版営業の橋本亮二さんと、製本家の笠井瑠美子さんが運営する「十七時退勤社」の本が揃っていました。橋本さんの営業力すごい。


    お店の奥はカフェとギャラリーになっています。代表の太田原由明さんは残念ながらご不在でしたが、お店番をされていたumiさんにお話を伺うことができました。太田原さんは戸田書店静岡本店で長く勤めてらっしゃいましたが、2020年の閉店に伴い、ひばりBOOKSをオープンすることとなったそうです。

    太田原さんのおすすめは奥山淳志著『庭とエスキース』(みすず書房刊)。太田原さんは奥山さんと戸田書店時代からのお知り合いで、本書を「十年に一度出るかどうかの文章のすばらしさ」と評されているとのことで、購入いたしました。

    この本は、北海道の丸太小屋に一人暮らしする「弁造さん」と共にすごした日々を奥山さんが綴るエッセイです。弁造さんは自然と人間が調和する庭を育て続ける一方で、イーゼルに向かい、いつまでも完成しない女性のエスキースを描き続けていました。その理由は、わかりません。一冊の本を費やしてもなお、一人の人間を理解することは難しいことですが、奥山さんの文章で立ち上がってくる弁造さんの像やその生活の風景は、美しく魅力的なものでした。


    弁造さんがご存命中に実現できなかった作品集を、『BENZO ESQUISSES 1920-2012』として奥山さんが刊行されたそうです。この二冊は、店内でも特別な本棚に一緒に並べられていました。

    本を購入したら、かわいいブックカバーを巻いて下さいました。

    みなさんは何かに悩んだりしてつらいときに、本を読んで助けられたことはないでしょうか。私はいつも本に助けられてきました。そんな本に出会えるような、近所にあったら毎日行きたくなるような本屋さんでした。静岡にお越しの際はぜひ立ち寄ってみてください。

    すぐ近くには徳川家康の住んでいた駿府城があり、周辺には気になるカフェもいくつかありますよ。

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    (文・写真:PIE三芳寛要 撮影日:2023/11/12)

     

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