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    #今月の本屋さん 佐賀之書店(佐賀県佐賀市)

    #今月の本屋さん 佐賀之書店(佐賀県佐賀市)

    今回は2023年12月に佐賀県佐賀市の佐賀駅構内でオープンした本屋さん「佐賀之書店」を紹介します。前回紹介した「ほんまる神保町」と同様、直木賞作家の今村翔吾さんがオーナーを務めていることと、店長の本間悠さんにお会いしたいということも訪問の理由です。

    佐賀駅へは福岡の博多駅からJRに乗って45分ほどで到着しました。「SAGA2024 国スポ 全障スポ」と大きく掲げられています。今年から呼び名が「国民スポーツ大会」に変わる旧・国民体育大会と、全国障害者スポーツ大会が今年は佐賀で行われるそうです。

    駅改札を出てしばらく駅構内を進むと佐賀之書店があります。店内に入るとド派手に装飾された「ほんま大賞」の棚と、今村翔吾さんの作品がずらりと面陳されている棚がありました。

    「ほんま大賞」は店長の本間さんが年に一度、文芸書へ贈る賞です。第6回受賞作『照子と瑠衣』(井上荒野著 祥伝社刊)が「よむタイプの生きる希望」と書かれた巨大な記章と共に紹介されています。過去の受賞作もその下の棚に全て面陳されています。

    今年2024年は1月17日に「ほんま大賞」がX上で発表され、1か月足らずで100冊越え、2か月目には150冊を販売と、わずか一店舗でこの売上は驚異的です。全国的にも影響力がある賞です。直木賞・芥川賞の発表日と同日に発表という点もシビれますね。

    その隣には「小川哲はいいぞ」と書かれた小川さんの巨大なポートレイトが。昨年の12月17日に小川さんがお店に訪れたとあります。佐賀之書店のオープン直後に、トークイベントを開催されたようです。2024年の本屋大賞にもノミネートされた小川さんの『君が手にするはずだった黄金について』(新潮社刊)が面陳されています。店長の本間さんによる「最近読んだ中でぶっちぎりに笑えた連作短編集」などと書かれた熱い推薦文が…読みたくなりました。

    入口正面の平台、一等地です。雨穴さんの『変な家』シリーズや、東野圭吾さん、住野よるさんの新刊のように話題作のほか、佐賀新聞で連載された『ゆうびんの父』(門井慶喜著  幻冬舎刊)や、「佐賀県警 vs テレビ西日本」というPOPと共に『すくえた命 太宰府主婦暴行死事件』(テレビ西日本 塩塚陽介著 幻冬舎刊)といった佐賀にまつわる本も紹介されています。『すくえた命』、とても気になる本です。

    こちらは平台の幅を凌駕するほどのPOPの数々。本間さん自身による書評で紹介されている『民宿ひなた屋』(山本甲士著 潮出版社刊)シリーズや、佐賀の作家である村山仁志さんの『午前0時のラジオ局』(PHP文芸文庫)が新聞記事と共に展開されています。

    こちらは文庫のエンド平台。

    「私のことではありません」というPOPとともに『新! 店長がバカすぎて』(早見和真著 角川春樹事務所刊)が置いてあり、笑ってしまいました。

    一方、ジャンル別の棚もとても充実しています。こちらは文芸書の棚。

    ビジネスの棚。

    児童書の棚はイチオシの面陳もされています。

    そしてコミックの棚です。駅ナカの本屋さんとして、あらゆる生活シーンをフォローしてくれる頼もしさを感じました。佐賀駅には以前は別の本屋さんがありましたが、2019年8月の大雨で駅の構内が水につかり、閉店を余儀なくされてしまったそうです。その後4年の時を経て、今村翔吾さんが佐賀駅に本屋さんを復活させました。このように充実した駅ナカ書店ができたことで、駅利用者の方々が喜んでいらっしゃる顔が目に浮かびます。

    そしてこちらが店長の本間悠さんです。朝のお忙しい時間に訪問してしまったせいか、お客様からひっきりなしに声をかけられていました。「この本のあらすじを読んで、『えー!っ』て思ったのよ!」と言いながら文芸書を購入する方も。おしゃべりしていかれる方が多く「まるで酒屋さんみたい」と本間さん。お客様との距離がとても近いお店です。本間さんが薦める本を読んだ方と、感想で盛り上がったりもするのでしょうね。こうしたコミュニケーション自体が来店動機にもつながっているように思います。

    ところで出版社へのリクエストは何かありますか? と伺ったところ、お客様に来店いただくきっかけとして「気軽にイベントを開催していきたいので、ぜひ作家さんと一緒にお越しになってほしい」とのことで、そのイベント会場を見せてもらいました。お店から歩いてすぐ、佐賀駅の高架下に「サガハツ」という商業施設があり、半分野外のスペースが会場です。周囲にはテイクアウトのできる飲食店もあるので、お酒を飲みながらの参加もできそうです。出版社の皆さん、どうですか?

    本間さんの今後の抱負は「とにかくお店を続けたい」。そのためにはあらゆる本をお客様に届けること。本は「物語」ばかりではなく、料理書のように実用性のある「道具としての本」もあり、それは「棚をDIYで作るときにトンカチを使うのと同じこと」。そうした本も含めて届けていきたいとのことでした。ぜひ皆さん、佐賀之書店でおしゃべりも楽しみながら、いろいろな本をお手に取ってみてください。

    佐賀之書店 Xアカウント
    佐賀之書店 Instagram
    本間さんのXアカウント

    ※おまけ

    ところで本間さんは高知の書店員・山中さんと、東京の書店員・飯田さんの3人で、それぞれの頭文字をとった「山本飯」というユニットを組んで情報発信をしています。3人とも文芸書の個人賞を定期的に発表されている、出版業界内では注目のユニットです。Xのスペース配信や同人誌制作などを通じて本屋さんの日常を垣間見られる楽しいアカウントです。今年12月に東京ビッグサイトで開催される文学フリマにも出店されるそうですよ。
    山本飯のXアカウント

    (文・写真:PIE三芳寛要 撮影日:2024/6/1)

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