#今月の本屋さん 宇野書店(東京都・大塚)
今回は2025年8月1日に東京のJR大塚駅北口でオープンした本屋さん「宇野書店」を紹介します。批評家でもあり、出版社「PLANETS」の編集長でもある宇野常寛さんがプロデュースする本屋さんです。
以前、宇野さんが「公開書店営業inスペース」という出版社の方が本を紹介するポッドキャストに出演された際、PLANETSの本を紹介したあとに「宇野書店を作る計画がある」ことを打ち明けていました。それ以来どこで開店するのか楽しみにしていたのですが、まさかPIEの最寄り駅でもある大塚だったとは。 PIEから歩いて6分で着きましたよ。

お店は「東邦レオ東京支社ビル」の2Fにあります。この日はメディア内覧会の日だったため、大勢の方がいらしていました。お店の中には人工芝が敷かれており、靴を脱いで上がります。手前はイベントスペースになっていて、椅子が並んでいます。

國分功一郎さんや落合陽一さんらの本と一緒に、宇野常寛さん著作の『庭の話』がずらっと面陳されています。約6000冊の本をすべて宇野さんご自身が選書されているそうで、哲学・思想に分類される本が多いお店という印象です。ところで薄いグリーンの表紙が特徴的なこの『庭の話』を拝読しましたが、承認欲求ばかりが肥大して蔓延する、SNSによって分断したこの社会の状況をどうやって内破するか、というとても刺激的な内容の本で、今の出版業界をどうしたらいいかここにヒントがあるのではないかと考えながら読みました。おすすめです。


三宅香帆『娘が母を殺すには?』、福嶋亮大『世界文学のアーキテクチャ』、白井智子『脱「学校」論:誰も取り残されない教育をつくる』など、興味深い本が平置きされています。いずれもPLANETSの刊行物です。

『わからないままの民藝』『ロレンスがいたアラビア上・下』『人工島戦記』など、どれも手に取ってみたい本ばかり。

岩波少年文庫が勢ぞろいしています。

晶文社の「吉本隆明全集」。現在37巻まで刊行されていますが、まだ続巻中とのこと。 戦後最大の思想家とよばれた方の全集、ちょっと腰が引けますが、読んでみたい。

新潮文庫や河出文庫など。どんな文芸作品が紹介されているのか、興味深いです。

風の谷のナウシカ絵コンテ集の隣に、オーソン・スコット・カード『死者の代弁者』が。SFの名著『エンダーのゲーム』の続編にあたる本で、個人的には『エンダーのゲーム』を上回る傑作だと思います。こういう本が平置きになっているだけで、この本屋さんに入り浸ること決定です。

押井守さんに関する本や、富野 由悠季さんによるガンダムシリーズ。

コミックもあります。『寄生獣』や『海街diary』などが見えます。

ビジネスや教養の本が雑多に刺さっていて、一冊ずつじっくり選びたい。

お会計はセルフレジ、現金不可です。その下には講談社新書がそろっています。

宇野常寛さんです。お話を伺ったところ、宇野書店がここにあることによって、この建物や、大塚エリア自体の価値を上げることを目指している、とのことでした。『庭の話』で書かれたような、公的に開かれた場所、町の公共施設としても考えてらっしゃるようで、その意図や展望が宇野さんのnoteに詳しく書かれているのでぜひ読んでみてください。

今後も宇野書店ならではのトークイベントが行われるとのことで、本との出会いもイベントも楽しみな大塚・宇野書店へぜひみなさんもお越しください。なお大塚はネパール料理のほか、ミヤンマー、ベトナム、タイ、フィリピンなどアジア各国の料理が楽しめる街ですので、あわせてお楽しみください。
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(文・写真:PIE三芳寛要 撮影日:2025/7/31)
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