アーティスト紹介
ビアズリーやミュシャ、19世紀後半から1930年代の黄金時代を築いた挿絵画家たち…。
アートブック・シリーズの素晴らしいアーティストたちを、
美術の流れと合わせた相関図とともに紹介します。
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ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ
Pierre-Joseph Redouté
(ベルギー、1759-1840)
南ネーデルランド出身の画家・植物学者。ナポレオン1世の皇女ジョゼフィーヌの庇護のもと、マルメゾン城の庭園に咲く世界中のバラを描いた。「バラの画家」「バラのレンブラント」「花のラファエロ」と称され、その繊細で美しい植物画は日本でも人気が高い。
- 『美花選』より「バラ(ロサ・オドラタ)」
- 『バラ図譜』の扉絵
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ウィリアム・モリス
William Morris
(イギリス、1834-96)
思想家、詩人であり「モダン・デザインの父」と称されるデザイナー。1861年「芸術と仕事、そして日常生活の統合」という理念のもと商会を設立。その後、モリスたちの運動は「アーツ・アンド・クラフツ運動」としてヨーロッパ全体へ広がり、モダン・デザインの源となった。
- テキスタイル「いちご泥棒」
- 壁紙「ひなぎく」
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エドワード・バーン=ジョーンズ
Edward Burne-Jones
(イギリス、1833-98)
絵画的表現、文学的想像力にすぐれたファンタジー物語絵の代表的な画家でありながら、親友のウィリアム・モリスの工芸運動に協力してすぐれたデザイン・センスを発揮し、モダン・デザインへの道を切り開いた多才なアーティスト。
- 「不吉な首」
- 「アンドロメダーの救出」
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ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス
John William Waterhouse
(イギリス、1849-1917)
画家である父のイタリア滞在中に生まれ、イタリア美術に親しみ、古代ギリシア・ローマ風俗を描くネオ・クラシック・スタイルの画家となる。やがて19世紀末に流行したおとぎ話をテーマにしたロマンティックな絵画を描き、人気画家となった。
- 「オフィーリア」
- 「シャーロットの女」
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ギュスターヴ・モロー
Gustave Moreau
(フランス、1826–98)
フランス象徴主義を代表する画家。聖書や神話を題材にオリエンタリズムやエロティシズムという新しいイメージを加えた幻想世界を描きつづけ、世紀末の幻想美術の先駆者となったモローは、多くの画家たちに影響を与えた。
- 「出現」
- 「一角獣」
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オディロン・ルドン
Odilon Redon
(フランス、1840–1916)
モローと並び、フランス象徴主義を代表する画家。版画の世界に魅せられ、1882年に石版画集『エドガー・ポーに』を出版。幻想の源である〈黒の世界〉を発見し、象徴主義へと向かう。晩年は豊かな色彩の世界に舞い戻る。神秘主義やオカルティズムにも関心があった。
- 「眼は奇妙な気球のように無限に向かう」
- 「キュクロープス」
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アンリ・マティス
Henri Matisse
(フランス、1869-1954)
ピカソと並ぶ20世紀モダン・アートの巨匠。初期は原色を多用した激しいタッチが特徴であるフォーヴィスム(野獣派)のリーダ-的存在となった。「色彩の魔術師」と謳われ、色あざやかでのびやかな世界を描きつづけ、晩年は「切り絵」という新しいアートの世界を切り開いた。
- 「赤い食卓」
- 『ジャズ』より切り絵の挿絵「イカロス」
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オーブリー・ビアズリー
Aubrey Beardsley
(イギリス、1872-98)
イギリスの世紀末芸術を代表するイラストレーター。モノクロの大胆なデフォルメと奇想ともいえる圧倒的なデザイン力で「鬼才」と謳われながらも25歳の若さでこの世を去った。全世界のイラストレーターや画家に多大な影響を与えた。
- 『サロメ』より挿絵「クライマックス(お前に口づけしたよ、ヨカナーン)」
- 『髪の毛盗み』より挿絵「伊達男(ボウ)と伊達女(ベル)の争い」
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ウォルター・クレイン
Walter Crane
(イギリス、1845-1915)
ウィリアム・モリスのアーツ・アンド・クラフツ運動の中心的なデザイナーであり、染色から陶芸までのあらゆる分野を手がけた。ユートピア社会主義者で、美しい社会をつくるために力を尽くした。数々の本の挿絵も手がけ、19世紀イギリスの古きよき時代のなつかしさを伝えている。
- 『グリム童話集』より挿絵「赤ずきん」
- 『美女と野獣』の挿絵
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アーサー・ラッカム
Arthur Rackham
(イギリス、1867-1939)
19世紀後半から1930年頃までの挿絵の黄金時代を長く支えた画家。線から面へ、モノクロからカラーへという挿絵の過渡期をまたぎ、その両方の表現を用いた。グリム童話からシェイクスピアまで、あらゆる名作を描いた。森の中の妖精たちやこびとなど、メルヘンとファンタジーの世界を見事に描く名手。
- 『不思議の国のアリス』の挿絵
- 『グリム童話集』より挿絵「森のなかのばあさん」
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エドマンド・デュラック
Edmund Dulac
(フランス、1882-1953)
挿絵の黄金時代の代表画家。フランスのトゥールーズで生まれ、パリで絵を学び、1904年からイギリスで活動した。宝石のようにきらめく色彩の美しさで、たちまち人気画家となる。ペルシア、インド、中国、日本など東方的な世界の描写も得意で、世紀末のラファエル前派にも影響を受けた。
- 『アンデルセン童話集』より挿絵「えんどう豆の上に寝たお姫さま」
- 『アラビアン・ナイト』より挿絵「ライラとマジュヌーン」
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カイ・ニールセン
Kay Nielsen
(デンマーク、1886-1957)
挿絵の黄金時代の代表画家。コペンハーゲンに生まれ、父は劇場監督、母は女優という演劇一家に育った。パリに出て修行し、1911年にロンドンに渡ってデュラックに続く挿絵画家としてデビューした。そのおしゃれで優雅な雰囲気と美しい装飾、モダンで繊細な線は多くの画家に影響を与えた。
- 『おしろいとスカート』より挿絵「ミニョン・ミネット」
- 『おしろいとスカート』より挿絵「12人の踊る姫君」
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ハリー・クラーク
Harry Clarke
(アイルランド、1889-1931)
1889年、ダブリン生まれ。絵を学び、1913年にパリに出ると、ステンドグラスのデザイナーであった父を継いでステンドグラスの研究をした。その一方、ギュスターヴ・モローの絵に魅せられ物語絵を描き、ビアズリー後期のロココ風な挿絵にも影響を受けた。ポーの小説の挿絵などのミステリー・ワールドも描いた。
- 『アンデルセン童話集』より挿絵「おやゆび姫」
- 『アンデルセン童話集』より挿絵「人魚姫」
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エルンスト・クライドルフ
Ernst Kreidolf
(スイス、1863-1956)
ユーゲントシュティールの代表的な絵本画家。のどかなアルプスの風景のなか、花や木、昆虫たちがいきいきと飛びまわる空想の世界と美しい詩物語が織りなすクライドルフの絵本は、今でも世界中で世代を問わず愛されつづけている。
- 絵本『冬のはなし』の挿絵
- 絵本『庭の夢』の挿絵
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カール・ラーション
Carl Larsson
(スウェーデン、1853-1919)
スウェーデンの画家。スウェーデンの民族史をテーマにしたフレスコ壁画の大作から、挿絵、工芸デザインなど幅広い活動を行う。特に北欧のあたたかな家庭の生活風景を描いた水彩画が人気を集め、フランス印象派の画家たちにも影響を与えた。
- 雑誌『ユールトムテン(サンタクロース)』より表紙絵「チェシュティのそりの旅」
- 「聖ジョージと王女」
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エルサ・ベスコフ
Elsa Beskow
(スウェーデン、1874-1953)
スウェーデンののどかな田園で育つ。祖母から聞いたおとぎ話で想像力をふくらませ、技術学校で習った絵を描き家計を助ける。結婚後も絵の好きな夫の勧めで絵本を描きつづけ、5人の子どもを育てながら彼らを主人公にしたたくさんの絵本を生み出した。
- 『ベスコフ童話集』の挿絵
- 絵本『森のこびとたち』の挿絵
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グスタフ・テングレン
Gusaf Tenggren
(スウェーデン、1896-1970)
北欧で挿絵画家として活動し、第一次世界大戦後にアメリカに渡る。とても器用で、さまざまなスタイルを自在に使って多彩な作品を残し、ヨーロッパとアメリカの両方で人気を集めた。ディズニーの美術監督としてのキャリアも知られている。
- 『グリム童話集』より挿絵「赤ずきん」
- 絵本『白雪と紅バラ』の挿絵
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ヨゼフ・チャペック
Josef Čapek
(チェコ、1887-1945)
チェコ・アヴァンギャルドの中心的画家。チャペック兄弟は絵と文のすばらしいパートナーで、弟のカレルが戯曲・小説・批評・旅行記など書き、つねに兄のヨゼフが挿絵と装丁を担当した。ヨゼフのやわらかく軽快なイラストは、愛らしさと楽しさにあふれている。
- 絵本『こいぬとこねこは愉快な仲間』の挿絵
- 『世界の王』の表紙絵
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イジー・トゥルンカ
Jiří Trnka
(チェコ、1912-69)
現代チェコの最もすばらしい挿絵画家で、人形劇、アニメーション映画でも数々の傑作を生み出した。トゥルンカの絵本や人形劇は戦時下に苦しむ人びとにとって、小さな心あたたまるなぐさめだった。大戦後、人形を使ったアニメ映画という新しい世界に挑戦し、ヴェネチア映画祭で金賞を獲得。
- 『アンデルセン童話集』より挿絵「ひつじ飼いの娘とえんとつ掃除人」
- 絵本『故郷の森のミーシャ・クリチカ』の表紙絵
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ウラジーミル・レーベジェフ
Vladimir Lebedev
(ロシア、1891-1967)
1891年、サンクト・ペテルブルクに生まれ、1917年のロシア革命でロシア通信社(ロスタ)の壁新聞「ロスタの窓」のデザインを担当した。その後、国立出版所児童部門で詩人サムイル・マルシャークとコンビで数多くの傑作絵本を世に出し、ロシア絵本の黄金時代を築いた。
- 絵本『サーカス』の表紙絵
- 絵本『しずかなおはなし』の表紙絵
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ユーリー・ヴァスネツォフ
Yuri Vasnetsov
(ロシア、1900-73)
ロシア・アヴァンギャルドの画家マレーヴィチに学び、1928年頃から絵本を描きはじめる。ロシア民話やおとぎ話などの子どもの世界を、なつかしくあたたかいタッチで描きつづけた。ヴァスネツォフの描くやいきいきとした動物やかわいい装飾は、見る人を幸せな気分にしてくれる。
- 絵本『ねこときつねとおんどり』の表紙絵
- 絵本『おだんごぱん』の挿絵
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レオン・バクスト
Leon Bakst
(ロシア、1866-1924)
ペテルブルクに生まれ、アカデミーで学んだ後、『芸術世界』誌のグループで挿絵を描き、舞台デザインの仕事をした。ディアギレフが1909年に〈バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)〉を結成しパリに乗り込むと、バクストのオリエンタルでダイナミックなデザインはヨーロッパ中にセンセーションを巻き起こした。
- 雑誌『コメディ・イリュストレ』よりバレエ「牧神の午後」のためのコスチューム・デザイン
- 雑誌『コメディ・イリュストレ』よりバレエ「シェエラザード」のためのコスチューム・デザイン
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アルフォンス・ミュシャ
Alfons Mucha
(チェコ、1860-1939)
アール・ヌーヴォーを代表する画家、イラストレーター、デザイナー。1887年にパリへ出ると、花や女性、美しい装飾を用いた華麗なミュシャ・スタイルの作風で人気を博した。晩年は祖国チェコへ戻り、祖国への思いを込め20篇の大作「スラヴ叙事詩」を描き上げた。
- サロン・デ・サン第20回展のポスター
- 「百合の聖母」
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ジョルジュ・バルビエ
George Barbier
(フランス、1882-1932)
フランスのナント出身で、イギリスにあこがれビアズリーに関心を持つ。20世紀初頭、ファッション画家としてスタートし、本の挿絵、舞台装飾も手がけた。古代オリエントなどのエロティシズムや、ジャポニスムやシノワズリ(中国趣味)の影響を受けたアール・デコ様式のイラストを多く描いた。
- ファッション雑誌『モード・エ・マニエール・ドージュルデュイ』より挿絵「移り気な鳥」
- ファッション画集『ひだ飾りとレース飾り』(1923年号)の表紙絵
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エル・リシツキー
El Lissitzky
(ロシア、1890-1941)
ロシア・アヴァンギャルドのあらゆる分野で活躍したデザイナー。1909年にドイツに行き、モダン・デザインのメッカであったダルムシュタット芸術学校で建築を学ぶ。ロシアに戻ってからは美術学校で教鞭をとり、構成主義的な絵本の挿絵や雑誌・ポスターのデザインを多く手がけた。
- ポスター「赤い楔(くさび)で白を撃て」
- 詩集『声のために』の挿絵
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アレクサンドル・ロトチェンコ
Aleksander Rodchenko
(ロシア、1890-1956)
ロシア・アヴァンギャルド、構成主義の中心人物。デザイン、絵画、舞台芸術、写真など幅広く活躍した。特に、キャッチコピーがデザインに反映され、限られた素材・色でインパクトの強い印象に仕上げる手法は、グラフィック・デザインに新風を吹き込んだ。
- レンギス(国立出版社レニングラード支部)のポスター
- ダヴロリョート社(ロシア航空産業開発会社)のポスター
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