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    お菓子と金工作品づくり、田舎暮らしのこと。『おやつとスプーン』 川地あや香さんインタビュー

    スプーンやプレートなど食卓まわりの作品を中心に、金工作家・お菓子作家として活躍中の川地あや香さん。四季の魅力溢れる山形の暮らしの中で、毎日つくってきたおやつのレシピを『おやつとスプーン』で公開しています。今回は川地さんにお菓子作りや金工作品作りのこと、田舎暮らしのことなどについてお話しいただきました。

     

    お菓子作りについて

    ーお菓子作りを始めたきっかけを教えてください。

    高校生くらいのころから、おやつ作りが好きでした。友達の誕生日にケーキを作って持っていくことも楽しいイベントでした。

     

    ーレシピを考えるインスピレーションはどこから得ますか?

    家の台所で、余っている野菜や果物、たっぷりあるスパイスを使えないかな、と、思いつきでやってみることも良くあります。もちろん失敗することもたくさんありますが、繰り返していると発見があります。

     

    ーどのような時にやりがいを感じますか?

    やはり食べてもらったときに喜んでくれることですね。実験しながらのおやつ作りに多少の失敗はつきものですが、食べてしまえば、楽しく食べた思い出だけが残る所もいいですね。

     

    ー苦労したこと、大変だったことはありますか?

    レシピを本として書かせて頂くのは「おやつとスプーン」が初めてのことでしたので、自分が作るためのメモとしてのレシピから、誰でも作れるように数字と言葉で組み立てて整えるのはなかなか大変な事なのだなあと思いました。でも、作ったよ、おいしかったよ!と声をかけていただくことも多く、レシピ本を書いたことによる広がりや、可能性の幅の広さも実感しました。

     

     

    金工作品について

    ー夏は金工、冬はお菓子作りをするスタイルは今も変わりありませんか?

    そうです。

    2021年の11月に、山形の中心部から、山の上の豪雪地の古民家に引っ越したら、ますますその二期作的な働き方の合理性が増しました。この山では、冬と夏で全く違う国のような生活になるので、農家さんと同じく、手仕事も持ち技を変えた方が季節に逆らわず、ストレス小さく暮らせます。カフェや飲食店さんでも、豪雪地では冬の間は完全休業して別の仕事をされる方も多いです。

    私も基本は金工作家ですが、冬は金属も冷たくて手が痛いうえに、広い作業場もとても寒くて厳しいので、小さなお菓子アトリエでお菓子制作をします。冬はホリデーシーズンもありますし、お菓子の恋しい季節でもあります。逆に夏は山形も暑いので、お菓子は管理に大変だったりもする。私にとっては金工とお菓子制作というのが、季節に応じながら暮らすために大事な手技です。

     

    ーお菓子作りが金工作品に影響していることはありますか?

    お菓子を作るとき、食べるときの道具がいろいろほしくなるので、その「こういう道具があったらな」を逃さずにつかまえて、金工制作で現実化するようにしています。台所道具の作り手でもあるし、熱心な使い手でもあるというのが、私の制作の原点でもあります。

     

    ー金工とお菓子、それぞれの作業をしているときにどのようなことを考えていますか?

    金工作品は形がずっと残るもの、お菓子は形がすぐに消えて、思い出や感触だけが残るもの、という残り方の違いがあるので、作るときも別の感覚を使っている気がします。でもそれが、脳の同じ部分ばかり使わないためという意味でも、いい切り替えになります。

     

     

    移住生活について

    ー山形に移住することになったきっかけを教えてください。

    夫の出身地だったからです。10年近く山形市に住みましたが、1年半前に夫のひいおじいさんの代で建てた築90年の古民家に引っ越したことで、やっと本当の移住完了を果たしたという感覚です。

     

    ー移住してよかったことは何ですか?また、苦労したことは何ですか?

    やはりこの広大な自然の場所を、自分で好きに使えるところ。でもやはりその自由を手に入れる代わりに、守らないといけない責任もある。雪のこと、自然の脅威への対応は、自分でしないといけないので、思わぬことがおきれば苦労にもなります。

     

    ーこれから移住を検討している人に何かメッセージがあればお願いします。

    地域での暮らしは都会だったらないような苦労もありますが、その苦労こそ楽しい!と思えるようなマインドでいれば、足りないものなんてない、むしろすべてが揃っているような感覚にもなります。自然や季節と寄り添いながら過ごすことができるのは良いところです。

     

     

    心の整え方について

    ー休憩時間を大事にしているとのこと。休憩時間の過ごし方を教えてください。

    コーヒーを淹れて作っておいたおやつを食べたり、ふらりとドライブして喫茶店に行ったりもします。つかれたときの自分のために、あらかじめおやつを作っておく、というのは東京で会社員をしていた20代のころからの、ささやかな日常の習慣でもあります。

     

    ー自分で自分のバランスを調整するために行なっていることはありますか?

    ぶっ続けで長く作業しすぎない事でしょうか。20代のころは1日中、寝食の時間を削ってでも仕事できたものですが、いまは中庸にいることが大事だなと思うので、作っては、休み、気分転換に畑仕事をしたり、家族のご飯やおやつの支度をしては、また作る、というように、暮らしという土台中に仕事があるような感じで日々を回しています。

     

     

    「おやつとスプーン」について

    ー本の中で特にお気に入りのレシピはありますか?

    私自身、この本を使い倒すように使っています。お気に入り色々あって迷いますね(笑)

    やはりスコーンやクッキーでしょうか。3年半たって、もちろん少しずつ変化したりアレンジしたりも楽しんでいますが、この本の制作時にたくさん実験したベースが載っているのでありがたいです。

     

    ー「おやつとスプーン」をどのような人に読んで欲しいですか?

    お菓子の先生の指南本ではなく、家のおやつ作りのメモや日記に近いようなレシピ本なので、お菓子作りのハードルを高く感じる方にも、これなら作る気になれそうと思えるものもあるのでぜひページをめくってみてほしいです。

    また、お菓子作りはしない方でも、この本の写真や構成、レシピの書かれ方が好きで、ペラペラと眺めていたくて持っています…というお声も良く頂くので、それもこの本の個性だと嬉しく受け取っております。

     

    ー今後挑戦してみたいことはありますか?

    引っ越してからの小さなお菓子制作所も、小屋の一角を工事してもらい、最近やっとできてきました。引っ越しによりしばらくお菓子の販売できないでいましたが、この秋冬からまたお菓子屋の活動も徐々に再開したいと思っています。壁を塗るのはこれからですが、小さな実店舗スペースもできたので、山の上のお店に来ていただきつつ、皆さまにこの山の自然を楽しんでいただけるような流れをどう作っていこうかというのが、今後の楽しみです。

     

     

    (撮影協力:森岡書店 銀座店)

     

    川地あや香 Ayaka Kawachi

    金工作家、兼お菓子作家。東京芸術大学工芸科にて金工を学んだ後、飲食店勤務を経て2012年に山形県に移住。スプーンや製菓器具など食まわりのものを制作しながら、お菓子用のアトリエも構え「カワチ製菓」としての活動も始める。シンプルで温かみのある金工作品と、滋味深い素朴なお菓子が人気を集める。食や作品制作を中心にした小さな暮らしの記録を、ウェブサイトで日々発信している。

    kawachiayaka.com

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